判例紹介
賃料が定期的に上がるとの賃貸借契約の条項は従わなければならないか?
借主は、貸主の敷地に借主の営業用の建物を建てて貰い、15年間、その建物を借り受ける契約を結びました。その契約には、3年毎に賃料が自動的に増額する条項があり、また、借主は貸主に対し、建築協力金を預け、15年間かけて、分割で返還を受けることにもなっていました。
ところが、不況で近隣の家賃が下がりました。
そこで、(1)借主は貸主に対し、2年後、賃料の減額請求をしました(第一減額請求)。さらに、(2)2年後、減額請求をしました(第二減額請求)。
貸主はこれに応じず、借主に対し、契約通り増額した金額との差額の支払いを求めて訴えました。最高裁まで争われました。
最高裁は、「賃貸借契約の当事者が現実に合意した賃料のうち直近のもの(つまり契約時の当初賃料)を基にして、その日以降の経済情勢の変動等、諸般の事情を総合的に考慮する」という基準を示しました(最高裁第二小法廷、平成20年2月29日判決)。
なかなか、その意味の理解は難しいです。本件に即して、分かりやすくいえば、当初家賃である300万円/月を基準として、第一減額請求、第二減額請求が行われたそれぞれの時点までの間の経済変動等を考慮するべきである。また、自動改訂条項によって賃料が増額されることになっているということは、考慮されるべき一つの事情に過ぎないと判断したわけです。
借主も貸主も投下資本の回収ができないような状態に立ちいった場合に、いずれがこれを負担すべきか、という問題のようにも思えます。
判例時報
『賃料自動改定特約のある建物賃貸借契約の賃借人から賃料減額請求がされた場合において、当事者が現実に合意した直近の賃料を基にすることなく、上記特約によって増額された賃料を基にして、増額された日から当該請求の日までの間に限定して経済事情の変動等を考慮した原審の判断に違法があるとされた事例』(最高裁第二小法廷平成20年2月29日判決)
