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経営改善計画

平成25年10月1日

6.どのような心構えと組織でPDCAサイクルを実行していくのでしょうか?

まず、心構えとして、経営者の方には相当の覚悟が必要です。

確かに、計画の初期は、遊休設備を売却することなどにより、キャッシュフローを獲得し、しばらくの間は資金繰りが改善するかもしれません。しかし、これは恒久的な収入とはならず、結局、営業からの収益を上げない限り、以前と同じ下降線をたどることになります。

 

確かに、計数計画を作ることで、目先の回復軌道が浮かび上がります。細かな数字の積み上げにより導き出した数値であるが故、この数字に沿って努力すれば何とかなると思われるかもしれません。しかし、定量分析、定量化には越えられない限界があります。詳細な売上計画、売上原価・販管費計画も、究極の数値の理由を尋ねれば、「○○のような努力を行えば、○○のような目標を到達できるだろう。」ということに過ぎないからです。いくら、外部環境、内部環境を分析しつくしたところで、不確実な部分が残ります。行き当たりばったり、思いつき、勘だけの経営を避け、不確実な部分をできるだけ小さくしていこうというのが経営改善計画策定までにしてきた種々の分析です。不確実な部分を極限まで小さくしたうえで、最後に残るのは、選択肢の選択です。「この方法ならいけるであろう。」「この方法でやるしかない。」

 

中小企業においては、経営者のパーソナリティーと企業風土とがほぼ一致します。往々にして中小企業の経営の在り方は一人の経営者の考え方次第で良い方向にも悪い方向にも傾きます。

だからこそ、経営者は、決めたことが実現されるようリーダーシップを発揮しなければならないのです。リーダーシップを発揮するためには、以下の3点が不可欠です。

  • 公正な会計慣行に基づき修正した「真の貸借対照表」、「真の損益計算書」と向き合う勇気を持つこと
  • もし、旧態依然の行動様式に固執した経営を行っていた場合、あと、3年後5年後の「真の貸借対照表」、「真の損益計算書」と向き合う勇気を持つこと
  • 「今までこうしてきたからこれでやって行くんだ」、「うちの会社の体質からしてそんなことできるわけない」という惰性、因習と決別すること
心構えを具体化する手段として計画実行体制を整備しなければなりません。

アクションプランでは、経営改善施策別に、いつ、どこで、誰が、何を、どのように実施するかの手順を示すことになります。

 

このアクションプランが各担当者により期限通り実行されたか、されなかったか、実行された内容は当初予定したレベルに達しているか、達していないか、その原因は、当初の見込みに見当違いがあったか、後発的な理由か、改めて当該アクションプランを修正すべきか、否かなどを定期的にチェックする体制が必要になります。

 

まず、担当者による自己査定です。自己査定により、改めて担当者の役割の意義を理化し、目標の到達度を知ることにより、自覚を促します。

次に、管理者による部下の査定これに基づく部門別PDCA会議です。管理者が部下が行った各自己査定を査定することで、各担当者の自己の分担に対する理解度を計り、客観的に、各担当者のアクションの達成度、さらにはアクションの結果もたらされた成果(収益)の達成度を、部門別に集計します。そしてその集計を資料に構成員が分析を行います。こうして、一人の管理者によって統括される事業部門のレベルで、構成員による手段的な目標への共通の理解と場合によっては当初決めた手段的な目標の不具合が発見され、是正されることも期待されます。なお、職員は、自分の行った行為とその結果を公正に評価してもらえれば、時に反省を促し、時に激励となり、インセンティブとして働くことでしょう。

最後に、これらを統括する統括PDCA会議です。統括PDCA会議では、各部門で集計されたアクションの実現の達成度及びアクションの結果もたらされた成果(収益)の達成度を集計します。そしてこの集計と各部門から昇ってきた改善案を資料に部門別の責任者が分析と討論を行います。もちろん、これはラインを通して具体的担当者レベルまで徹底します。

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