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企業支援エトセトラ

平成26年6月1日

4.雇用に関する税制上の優遇措置

中小法人の方、給与支給額を増大させたり(雇用促進税制)、雇用を拡大した場合(所得拡大促進税制)に、税額控除が認められることをご存知でしょうか。

 

雇用促進税制のメリットは、増加した雇用保険一般被保険者の数×40万円の税額控除です。

所得拡大促進税制のメリットは、給与等支給増加額の10%の税額控除です。

  

双方の要件を満たす場合には、いずれか一方を選択して適用することになります。

 

例えば、追加雇用が3人なら、3×40万円=120万円の雇用促進税制による税額控除になり、この3名の追加雇用と昇給等による給与等支給増加額が1300万円なら、1300万円×10%=130万円の所得拡大促進税制による税額控除になります。この場合、所得拡大促進税制の方を選択した方が得ということになります。

 

主な要件と手続については、それぞれどのようになっているのでしょうか。

 

まず、雇用促進税制の適用例について、3月決算の法人が、平成27年に法人税の申告を行うとして基本的要件や手続きのみ紹介します。

H26.6末までに雇用促進計画を作成し、ハローワークに提出すること
適用年度(H27.3期)とその前事業年度(H26.3期)に、事業主都合による離職者がいないこと
適用年度(H27.3期)に雇用者(雇用保険一般被保険者)の数を2人以上、かつ、10%以上増加させていること
適用年度(H27.3期)における給与等の支給額が、比較給与等支給額以上であること

次に、所得拡大促進税制の適用例について、3月決算の法人が、平成27年に法人税の申告を行うとしてみていきます。

給与等支給額(H27.3期)が基準事業年度(H25.3期)の給与等支給額と比較して2%以上増加
給与等支給額(H27.3期)が前事業年度(H26.3期)を下回らないこと
平均給与等支給額(H27.3期)が前事業年度(H26.3期)の平均給与等支給額を下回らないこと

(注)基準年度とは、平成25年4月1日以後最初に開始する事業年度の直前の事業年度をいいます。

(図は、財務省ホームページより)

 

これらの制度は、特別償却のような単なる課税の繰延ではなく、現実に法人税額を減額する点で資金繰り上より魅力的です。

 

では、平成26年に新設された法人についての適用関係はどうでしょうか。

 

雇用促進税制については、新設事業年度については、適用がありません。これに対し、所得拡大税制については、適用があります。法人設立初年度で利益を確保することは難しいですが、法人税が課税されるようであれば、是非お使いください。

例えば、新設法人は26年に設立された3月決算の会社とします。要件①~③について見ていきます。①の要件について、平成25年4月1日以後に設立された新設法人には基準事業年度が存在しないため、設立事業年度(H27.3)の給与支給額の70%相当額になります。よって、給与等支給増加割合は30%となり、①の要件を満たします。②③の要件について、それぞれ0円以上となりますので、いずれの要件も満たすことになります。

 

では、他の税制上の優遇措置や助成措置との合わせ技はどうでしょうか。

 

上記の通り、これら雇用促進税制と所得拡大促進税制の合わせ技は使えませんが、他の租税特別措置法上の優遇措置との合わせ技は可能です。但し、税額控除の合計の限度額は、法人税額の90%までとなっています。

また、雇い入れ助成金などとの合わせ技も可能です。但し、給与等支給額等の計算上、その給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額は含まれないため、実際に支給した額から助成金の支給額を控除してから金額の計算を行うことになります。

 

なお、雇用促進税制は、平成28年3月31日までの期間内に始まる事業年度分まで適用され、所得拡大促進税制は、平成30年3月31日までの期間内に始まる事業年度分まで適用されます。仔細については、雇用促進税制は、こちら、所得拡大促進税制は、こちらをご覧ください。

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