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企業支援エトセトラ

平成26年8月29日

7.設備投資しても全額損金算入 -その2-

前の「2.設備投資しても全額損金算入(中小企業投資促進税制)」では、一定の生産設備を導入した場合に即時償却又は税額控除が認められる優遇措置(以下、「本制度」といいます。)の概要をご案内しました。特に、中小企業に対する制度の拡充部分をクローズアップし、他の助成制度との合わせ技についてご案内しました。

 

今回は、本制度についてより理解を進めるため、大企業に対する優遇措置(生産性向上設備投資促進税制)と中小企業に対する優遇措置(中小企業投資促進税制)を比較しつつ、本制度を利用する際の手続上の注意点に絞ってご案内したいと思います。

 

大企業と中小企業に対する優遇措置の対比

(大企業の場合)

A 先端設備に投資した場合

①最新モデル、②年平均1%以上の生産性向上、③最低取得価額以上

 

B 生産ラインやオペレーションの改善に資する設備

①投資計画における投資利益率が年平均15%以上、②最低取得価額以上

即時償却又は5%税額控除の選択制

 

(中小企業の場合)

大企業の場合に比べて、要件が緩い一方で、優遇が大きくなっています

例えば、A類型において、ソフトウェア組込型装置は、一代前のモデルでも対象になり、稼働状況を分析するソフトウェアは生産性向上の要件はありません。B類型において、①投資利益率の年平均は5%以上が対象になっています。

資本金が3000万円以下の法人は、税額控除が10%まで、資本金が1億円以下の法人は、7%まで認められます。

手続上の注意点

例えば、似たような制度で、少額減価償却資産の損金算入の場合なら、決算の時期に気付いたとしても、明細書に記載すれば足りるので差しつかえはありません。

 

しかし、本制度では、Aを利用する場合、例えば、電気消費効率が改善された電気冷蔵庫を導入するなら、購入の前にメーカーを通じて、①最新モデルであることと②年平均生産性が1%以上向上することを証明する証明書を業界団体から発行していただかなければなりません。また、当初申告時に、書面を添付し、申請していなければ、更正の請求を行うこともできません。ご注意ください。

また、Bを利用する場合、例えば、大型コンクリートカッターの新規導入により土木工事の改善を図る場合、予め税理士又は公認会計士による投資計画案の確認、ついで経済産業局によるこの投資計画に対する確認を受け、各証明書を確定申告書に添付しなければなりません。こちらも、Aの利用の場合と同じく、更正の請求で遅ればせながら書面を添付しても受け付けられません。

 

これらの手続的要件は、大企業も中小企業にも共通の要件です。ご利用されるときは事前の準備を忘れずに行ってください。

 

現在のところ、この優遇措置の適用の対象となる投資の行われる期間は、平成28年3月31日までで、この期間を過ぎれば優遇程度が縮小することになっています。

貴社の生産設備が老朽化していたり、新規の事業に対する投資を考えている場合には、是非本制度の利用を検討してみてください。

詳しくは、こちらをご覧ください。

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