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企業支援エトセトラ

平成27年10月31日

15.「地域産業資源」を活用した事業の取り組み

中小企業が「地域産業資源」を活用して商品の販売やサービス提供を行う場合に、国から補助金を受けられるという制度があります。

これは「中小企業地域資源活用促進法」という法律に基づくもので、「地域産業資源」を利用した中小企業の事業活動を促進し、地域の活性化を図ることを目的として、平成19年に定められた制度です。地域の活性化をより促進するため、今年、一部改正がなされました。

 
そもそも「地域産業資源」とは?

地域産業資源とは、要は、地域の特産物です。周知性と活用可能性があるものとして、都道府県が指定します。①農産品、②鉱工業品、③文化財や自然風景等の観光名所の3つのカテゴリーがあり、平成27年7月末時点で全国で約14,700の地域資源が指定されています。

例えば、京都市の西陣織、奈良市の奈良漬、神戸市の北野異人館街、有田氏の有田みかん、滋賀県の近江米、そして大阪のお好み焼き、など。

地域産業資源が、各都道府県全域の地域産業資源として指定されているものもあれば、特定の市の地域産業資源とされている場合もあります。例えば、大阪府についてみると、「お好み焼き」や「おこし」は大阪府内全域の地域産業資源ですが、「次世代ロボット」は大阪市だけの、「ラグビーグッズ」は東大阪市だけ、「勝尾寺」は箕面市だけの地域産業資源になっています。

 
地域産業資源を活用した事業とは?

中小企業は、地域産業資源を活用した事業の事業計画書を作成し、経済産業局等が認定を行います。

認定を受けるためには、事業が、以下のもののいずれかに該当することが必要です。

農林水産物又は鉱工業品をその不可欠な原材料又は部品として用いて行われる商品の開発、生産又は需要の開拓
鉱工業品の生産に係る技術を不可欠なものとして用いて行われる商品の開発、生産又は需要の開拓
観光資源の特徴を利用して行われる商品の開発、生産若しくは需要の開拓又は役務の開発、提供若しくは需要の開拓

事業計画の認定を得るためには、「地域のブランド力を高めていると言えること」がポイントになります。これまで多くの事業計画が認定されましたが、そのほとんどの事業が個社の取り組みにとどまり、地域ブランドの創出に至っていないという点が問題視されてきました。

法律には、目的として、「地域経済の活性化」が明示されており、地域の他の中小企業等の事業活動の促進等に寄与することが必要とされています。例えば、

・市町村による「ふるさと名物応援宣言」の対象となっているか

・複数中小企業者の連携による事業であるか

・地域の関連事業者や関係団体等、域外の販路を有する小売事業者、地域産業資源活用支援事業者等との適切な連携を行っているか

等も、認定を受ける上での重要な考慮要素になります。

 

*「ふるさと名物応援宣言」とは?

地域のブランド力を高めるためには、地域の幅広い関係者(事業者、支援機関、住民等)が、基本的な考え方や取り組みの方向性を共有し、互いに連携して、域内外に対しワンボイスで発信していくことが重要です。そのために、連携の軸となりうる市町村が旗振り役となり、このような取り組みを推進していくことが期待されています。このような観点から、市町村が特に地域を挙げて支援を行うものを「ふるさと名物」として特定し、積極的な情報発信を行っていくことを「ふるさと名物応援宣言」と呼んでいます。

 
認定を受けた事業についての支援措置は?

事業計画が認定されると、様々な支援措置を受けることができます。

まず、地域産業資源を活用した商品・サービスの開発製造、販路開拓等を行うに必要な経費の補助があります(H27年度は上限500万円、補助率2/3)。

また、政府系金融機関による低利融資、信用保証枠の拡大、専門家等によるアドバイス、中小機構による販路拡大支援(商談会やアンテナショップ等の開催)等の支援を受けることができます。

 

H19年に運用開始後、H27年7月末時点で約1,360件の事業計画が認定されています。実際の事例はこちらをご参照ください。

地域産業資源の一覧は、バラエティに富んでおり、意外な地域で意外な地域産業資源が認定されています。これを見ると、事業のアイディアが沸いてくるかもしれません。

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