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企業支援エトセトラ

平成29年4月12日

17.企業支援措置を利用する

企業支援措置の種類と情報源

平成29年度の国の予算は、平成29年3月27日、政府提出の予算案通り、参議院で可決し、本年度の予算が成立しました。企業との関係で特に気になるのは、助成措置(低金利融資も含む。)、つまり、金銭等補助の予算です。これは、企業が積極的に金銭等の財産の交付を受けることです。他方、税制上の優遇措置、つまり、租税特別措置法などによる税制改正などです。これは、企業が財産を徴収されないようになることです。

前者も後者も企業の経営にとって、重要なインフラの一つです。国は、その時々の経済社会政策を遂行するために、財政金融政策を駆使しますが、これらは財政政策の重要な柱です。

企業に対する助成措置も、税制上の優遇措置も、恒久的な措置と期間限定の措置とがあります。しかも、企業に対する助成措置は、その多くが予算の範囲内での締切期限のあるコンテスト制です。税制上の優遇措置は、予算的な制限はありませんが、申請制です。その多くは、確定申告時に添付資料とともに適用を申請すれば足りるのですが、予め、しかもずいぶん先に、税務署以外の他の省庁の承認などを得ておく必要のあるものがあります(雇用促進税制、生産性向上設備投資促進税制、事業承継税制など)。申告後にも一定の順守条件が継続的にモニターされるもの(事業承継税制など)もあります。確定申告後に税金を減額してもらえることに気づいても、のちに更正の請求で減額してもらえるものとそうでないものとがあります。むしろ、期限に間に合わなければ利益を享受できないという覚悟で臨むべきでしょう。

ですから、アンテナを高くし、これらの情報を早めにキャッチすることが大切です。その一番早い情報が、毎年、夏にある各省庁の翌年度概算要求や税制改正要望です。

また、国以外でも、各地方公共団体においても、同様に、助成措置を講じています。

 

では、具体的にどのような支援を受けることができるのでしょうか?

 

企業支援措置の利用手続

助成措置については、申請(採択・承認)後に順守すべき条件も加味して、申請するかどうか決めるべきでしょう。特に、その条件を充足できなかった場合のペナルティも考慮にいれましょう

特に、補助金について、典型的な流れは概ね以下のようになっています。

 
①申請書の作成(事業計画、経費明細、資金調達を含むケースが多い。)
事前の審査
②交付申請
交付の確定
③事業実施・実績報告
交付額の確定
④補助金の請求
補助金の支払(一般に、補助対象経費総額の一定割合)
ようやく入金
⑤事業化状況報告、収益納付(補助対象事業の完了後5年間の報告義務、補助事業の成果として生じた財産、知的財産権等を処分した場合は補助金を返還など。)

補助金の利用方法

上記2のように、補助金の交付は、補助対象事業の完了後にしかなされないため、交付がなされるまでの資金の手当てがなされなければなりません。その後も補助制度の趣旨に従った利用が確保されなければ返還しなければなりません。そのため、資金繰りに関しては、制度融資を含め金融機関からの融資も併せて検討する必要があります。

概ね補助金額について上限があり、事業費に対する率として、最大で3分の2程度までで、かつ、補助金額として、数十万円から数千万円まで幅があります。

読んで字のごとく、事業の資金そのものを補給するのではなく、事業資金の足しになるものに過ぎません。したがって、補助制度があるのでその要綱にあった事業を行おうというのは本末転倒です。

本業を行い、または、その創業の予定があることを前提に、これを助成してくれる制度があるならば、足しになるので利用できるものは利用しましょうということです。

特に、年に1回の確定申告前の決算まで経営成績がわからない、つまり、各月または4半期ごとの経営成績や資金繰りがきちんと分析できていないような中小企業におかれては、補助金(特に、コンテスト型)への応募を行うことが、経営の合理化・収益向上を図るうえで一つの転機になりえます。第三者に納得してもらえる尺度を用いて事業計画を立てることで、時間の流れに沿って、ヒト・モノ・カネをどのように動員し、どのようにして収益に結び付くかがはっきりします。その過程で、自社のSWOT分析(経営改善計画参照)を行うことにもなり、その後の経営に大いに役立つことと思われます。手続は、少々煩わしいですが、採用されれば資金繰りの足しにはなります。また、その事業は公表されますのでPR効果もあります。

まずは、国や地方公共団体の行っている補助金制度をザッピングして、貴社の針路にあった助成制度を利用してみてはいかがでしょうか。

 

補助金に関する情報について、国に関しては、随時、ミラサポの「補助金・助成金ヘッドライン」、地方に関しては、当事務所の「補助金・助成金情報」などをご覧下さい。

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