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企業支援エトセトラ

令和4年2月8日

38.令和4年4月から民法の成人年齢が18歳に引き下げられます。何に注意すべきでしょうか

はじめに

憲法改正国民投票の投票権年齢や公職選挙法の選挙権年齢などが18歳と定められ、市民生活に関する基本法である民法においても、18歳以上の人を大人として取り扱うことになりました。改正民法の成立は平成30年6月でしたので、長い間周知期間がありました。

いよいよということで、民法ほか職業・社会生活に関連する基本的な扱いについておさらいし、税法上の注意点もご案内したいと思います。

民法

成年年齢の引下げによって、18歳以上の方は、親の同意(これがなければ未成年者取消権)を得ずに、様々な契約をすることができるようになります。親の同意なしで銀行口座を開設したり、株式取引をしたり、クレジットカードを作ることができます。遺産分割協議でも親などが代理人となる必要がなくなります。

もっとも、養子をとることのできる年齢は従来通り20歳で維持されています。現在、婚姻開始年齢は男18歳女16歳となっていますが、取扱いの差異を解消し、男女のいずれも18歳になります。

なお、養育費も18歳までかといえば、必ずしも、そうではありません。養育費は、子が成年に達したとしても、経済的に未成熟である場合には、親は養育費を支払う義務を負うことになります。

他の成人年の職業・社会生活に係る法令の変更

職業上の資格など門戸が開かれます。例えば、公認会計士資格、司法書士資格など多くの資格が、20歳から18歳で取得できるようになります。

社会生活上も活動が容易になります。10年用一般旅券が取得できるようになります。性別取扱いの変更の審判を受けることもできます。詳しくは、こちらをご覧ください。

成人の税制上の扱いに係る変更

(1)贈与の際の特例税率

現在は贈与の年の1月1日時点で20歳以上の人が親や祖父母から贈与を受けた際に贈与税率が低くなります。これが18歳以上になります。

(2)結婚・子育て資金の非課税

現在は結婚・子育て資金管理契約を締結する日において20歳以上の人が挙式、新居、出産、不妊治療といった結婚・子育て資金の一括贈与を受ける場合、最大1,000万円まで非課税となります。これが18歳以上になります。

(3) 住宅取得等資金の非課税

令和4年度の税制改正により、直系尊属からの住宅取得等資金の贈与を受けた日の属する年の1月1日において18歳以上の人が、最大1,000万円から500万円まで非課税となる予定です。

(4)相続時精算課税制度

現在は贈与の年の1月1日時点で20歳以上の人が2,500万円までなら回数にかかわらず贈与税がかかりません。これが18歳以上になります。

(5)事業承継税制

現在は贈与や相続の年の1月1日時点で20歳以上の人が事業用資産や非上場株式について贈与税や相続税の納付を猶予・免除されます。これが18歳以上になります。

(6)相続時の未成年者控除

相続人が未成年の場合に成人までの年数に応じて相続税の税額控除を受けられます。現在は満20歳になるまでの年数1年につき10万円が控除されます。これが満18歳になります。

(7) 少額投資非課税制度(NISA)

現在はその年1月1日において18歳以上である者が証券会社等に、非課税口座開設届出書の提出し、非課税管理勘定が開設された場合、配当や譲渡益について非課税とされます。これが、18歳以上になります。

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