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刑事事件

刑事事件には、捜査当局から犯罪の嫌疑を受けている「被疑事件」と、裁判所に公訴を提起された「被告事件」の2つの段階があります。マスコミ報道では、捜査対象になっている人のことを「容疑者」と呼んでおり、訴追された人のことを「被告」と呼んで、段階ごとに呼称を替えて区別しています。もっとも法律家の世界では、被告という呼称は民事事件で訴えられた人のことをそう呼ぶのであり、刑事事件で起訴された人のことは「被告人」と呼んでいます。

いずれの段階でも、身柄を拘束されている場合と、在宅の場合があり、身柄拘束を受ける場合は、捜査段階では警察署の留置場に留置され、公訴提起後はほどなく拘置所に身柄を移されることが多いです。犯罪の嫌疑を受けて逮捕された場合、警察は48時間以内に被疑者の身柄と事件関係書類を検察官に送致しなければならず、検察官は送致を受けてから24時間以内に被疑者を釈放するか、裁判所に対して勾留請求するか、どちらかの処分をしなければなりません。そして裁判所が勾留請求を認めた場合には10日間、延長がなされた場合は更に10日間(合計20日間、逮捕から数えると最大22日間)、身柄が拘束されて、取調を受けることになります。そして検察官は勾留満期までに、被疑者を起訴するか、釈放するかしなければなりません。

嫌疑を受けている人やその家族は、いつでも弁護人を選任することができます。弁護人は被疑者と面会し、不当な取調を受けないよう助言したり、被疑者にとって有利な事情を聞き出して、捜査当局に働きかけたりします。犯罪事実に争いがないときは、被害者との示談交渉も行い、初犯で事案が比較的軽微なときは被疑者が起訴されないように活動することになります。また起訴が確実と思われる事案でも、公判で有利な証拠が提出できるように準備活動をします。

被疑者が起訴された後は、裁判所に対して、保釈請求をすることができますので、被告人や家族と相談して、保釈に向けた活動を行います。保釈では裁判所から保証金を積むことを要求されますが、これは逃亡や証拠隠滅の抑止のためです。一審判決の言い渡しがなされると還付されますが、もし逃亡などした場合は没収されることになります。

公判段階では、犯罪事実の争いのない事件では、被告人に有利な情状を最大限にアピールして、執行猶予を初めとしてできるだけ寛大な処分となるよう尽力し、無実を争う裁判では、検察官の有罪立証の構図をあらゆる角度から検討して、無罪判決を勝ち取る努力を惜しまないのが弁護人としての職責です。

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