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「成年後見」について

普通、「成年」になれば、自分のことは自分で判断する権利を有し、判断した結果について責任を負います。しかし、精神上の障害により、その判断ができなくなる場合が出てきます(法律上は、「事理を弁識する能力を欠く常況にある」と呼んでいます。)。例えば、認知症になってしまい、何を言われても「はい、はい」としか言えなくなっているおばあちゃんが、高額な買い物を勧められ、「はい、はい」と買ってしまうことが挙げられます。おばあちゃんに代わって適切な判断のできる人が必要です。それが成年後見という制度です。法律上は、判断ができなくなっている程度に応じ、後見人、保佐人、補助の三種類があり、それぞれ権限が異なりますが、以下では、成年後見を例にとって説明します。

成年後見は、本来、判断能力をなくしてしまった人(被後見人と言います。)の判断を補うことにより、その人を保護するための制度です。成年後見人は家庭裁判所が選任しますが、基本的には申立により、身内の人が選任されることもありますし、司法書士や弁護士が選任されることもあります。

一般的には、司法書士や弁護士のような中立な専門家の方が望ましいと思われます。「私がおばあちゃんの面倒を見ているのだから、状況も一番良く知っている。私が成年後見人になる方がおばあちゃんのためにも望ましいのではないですか?」という意見もあるでしょう。確かにそういう一面もあります。しかし、後日生じるかもしれない紛争を避けるという観点からは、専門家の方が望ましいと言えます。おばあちゃんが正常なら、おばあちゃんのお金をどう使ったかなどは問題にはなりません。そうでないだけに、後から「経理が不明確だ。」という苦情も出る可能性があります。確かに、一緒に生活する以上、経理が不明確になることは避けられない面があります。「うちでは、親戚も皆、私がおばあちゃんの面倒を見ていることに感謝してくれているからそんなことを言う人はいない。」と言われるかもしれません。しかし、問題が生じるのはおばあちゃんが亡くなってからです。「そんなことを言い出す人がいる」場合があることも確かです。「一生懸命やったのに、後からケチをつけられるなんて、踏んだり蹴ったりだ。」ということにならないためにも、専門家に依頼する方が良いと思われます。

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