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「遺言」について

遺言は、最後に行う財産処分と言えます。ただ、遺言については、効力が発生するときにはその処分をした人が亡くなっているという特殊性があります。遺言書の内容が分かりにくくても、書いた人にその意味を聞くわけにはいかないのです。遺言を巡る諸問題は、この特殊性から発することが多いと言えます。遺言書には厳格な要式性が要求されていますが、それも、事後的には確認できないという性質から来ているものと言えます。また、遺言には、遺産を巡る紛争を防止するという機能があり、弁護士が、遺言の作成をお勧めするのもそのためです。つまり、残されたものたちが遺産を巡って争わないようにするにはどういう内容の遺言であるべきか、そのために、遺言書以外に残しておくべき資料が必要なら、何と何を残しておくべきか、などを考える必要があり、弁護士が関与する意味もそこにあると言えます。

普通の遺言の方式として、法は三方式(公正証書遺言、自筆証書遺言、秘密証書遺言)を定めています。適式に作成される限り、効力は同じです。ただ、若干の費用を要しますが、公正証書遺言をお勧めします。公正証書遺言では、公証人という中立な専門家が遺言書作成に関与しますので、遺言書の成立を巡る紛争が概ね避けられるからです。

遺言書の内容について注意すべきこととして、一つ挙げるとすれば「遺留分」の検討だと思われます。遺留分とは、一定範囲の相続人が有している、遺言をもってしても制限できない、遺産に対する一定の持分のことを言います。それすら確保されなかった相続人は、不満を持つでしょうし、紛争になることも多いのです。勿論、生前贈与等を考慮すれば遺留分侵害は生じていない場合もあるわけで、だからこそそのような遺言にしたという場合もあるわけですが、遺言者死亡後においてはその理由も確認できません。遺言作成時にその理由も考慮して、しかし遺留分を侵害しないような遺言にして、残すべき資料は残しておくことが涵養なのです。

勿論、遺留分以外にも、将来の紛争防止のために考慮すべきことはあります。自分の死亡後、残した遺言書を巡って子供たちが争わないようにするという観点から、専門家との相談をお勧めします。

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