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決断

支援機関の認定を受けた事務所に依頼し、何度もミーティングを行いました。決算書の数字の意味を分かっているつもりでしたが、専門家による解説はさすがに衝撃でした。決算書を作成する元の資料の正確性をどのようにすればよいかも、改めて知りました。以前、京セラの稲盛さんが、会社のあらゆる数字を見ていると、おかしなところは向こうから目に飛び込んでくる、それで会社の問題点が分かる、と言っておられましたが、その意味が少しわかったように思います。

また、人事労務の観点から、長期的な人件費の削減を視野に入れつつ、従業員にやる気を与えるため、開業以来手をつけられなかった年功給から能力給のシステムへの移行の賃金体系のアドバイスを受けました。また、利用可能な助成金に関する説明も受けました。

最近3年間のわが社の状態です。負債総額約10億円、売上高は約12億円、売上原価は10億円、販管費等が1億5000万円です。営業外利益はほとんどなく、これに対し営業外費用は4000万円で、そのほとんどが支払利息です。もっとも、元本の返済はしばらく猶予してもらっています。経常利益はかろうじて1000万円を確保していますが、このままだとやがて利息の支払いに食われてゆくのは目に見えていました。

このような財務体質の最大の原因は、バブル期の借入れが尾を引いていることは間違いありません。私は今までそのことばかりに気を取られていました。しかし、ミーティングによってそれぞれの商いごとに細かく見ていくと採算割れを起こしているものが多数見つかりました。私は売上原価を割らない限り目をつむっていたのですが、販管費の割当てを専門家にやっていただくことで明らかになりました。

この不採算の商いのうち、改善の見込みがないものは整理することにしました。いわゆる「仕分け」を行なったのです。その結果、売上げは2億円ほど減少しますが、原価も同じく2億円減少し、販管費は従業員の配置換えや残業の禁止、希望退職者の募集によって2000万円ほど圧縮できそうです。

わが社は父親の創業以来、固有の商いがありましたが、これはローリスク・ローリターンで「うまみ」のないものだと思い込んでいました。しかし、この商いがわが社をわが社たらしめていたのですから、この部門をテコ入れすることにより業績の回復を図ります。商社の生命線である営業部員を、事業仕分けによって今まで以上に投入して足で稼ぐことによって従来の顧客をつなぎとめるとともに、常時インターネットによってより有利な仕入れと販路拡大のための新規顧客の開拓に当たらせるようにしました。インターネットによるビジネスマッチングについては、専門家に依頼することにしましたが、少ない経費で効率的な営業を行うことができそうです。

見込みでは、売上げは10億円、売上原価は7億5000万円、販管費等1億3000万円、営業外費用は変わらず4000万円で、経常利益は8000万円に拡大することになります。これをもとに、10年後には、有利子負債がキャッシュフローの10倍以下となることを盛り込んだ計画書が作成できました。

私と◯◯さんは、出来上がった計画書を持って銀行を訪れ、今後のわが社の資金計画を説明し、承諾してもらいました。これで会社の経営を計画通りに行えば借金を含めて資金繰りに悩むことはありません。心の重荷がとれたようで、やっと本当の経営者になれたような気がしました。

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