連載: 会社の内部統制・コンプライアンス(3)
「相手が反社会的勢力とわかったとき」
前回のおさらいです。御社の取引先が暴力団関係企業など反社会的勢力であることが、御社のメイン銀行や取引証券会社からの情報により明らかになったとき、御社は直ちにその取引を手仕舞いして関係を断ち切らなければ、御社が「反社会的勢力と関係のある企業」として銀行からの融資をストップされ、あるいは上場企業からの取引を停止され、たちまち窮地に陥ることになるのです。
では、どうすれば関係を断ち切ることができるでしょうか。おそらく、問題が表面化するまではそのままにしておこうと思われる方が多いと思います。従前は、とにかく担当部署にまかせて経営陣に問題が上がらないように「臭いものにフタ」をし、相手方に金銭給付をしてお茶を濁すことが多く行われてきたでしょう。しかし、反社会的勢力追放の社会的合意が叫ばれている現在においては、問題が表面化しなくても関係が知れるだけで御社の企業生命が絶たれるおそれがあることをご理解下さい。しかも、相手方はそのことを逆手にとって、「御社との関係をバラしますよ。」と脅しをかけてくることもあるのです。問題が表面化する前に手を打たなければなりません。
まず、第一に会社経営陣が担当者からの情報をもれなく聞きとって、会社として対処する姿勢を示すことです。担当者任せにしてはいけません。担当者を孤立させると担当者が相手方に取り込まれる危険性が多分にあります。できるだけそれまでの担当者とは別の部署に代わり、「会社として取り組んでいる」との姿勢を明らかにする方がいいでしょう。
第二に、相手方と継続的取引をしている場合は、なおさら関係を断ち切ることが困難です。だからといって、ずるずる取引を続けることはマイナスです。その場合は、弁護士などの専門家に相談して下さい。弁護士は法的な判断とともに、場合によっては警察とも連携し、対処する方法を模索いたします。弁護士とて特効薬を持ち合わせているわけではなく、様々な情報をもとに多角的検討を加え、御社にとって最も安全で有利な方策を考えます。会社内において担当者任せにしてはいけないのと同じく、御社一社で対処しようとなさらないで下さい。
第三に、相手方に御社の何らかの弱みを握られてしまった場合のことを考えましょう。このような連中は会社の弱みを巧みに突いてきます。それこそ彼らが「プロ」であるゆえんなのです。この場合は、基本的に交渉の余地無し、と考えて下さい。その弱みが御社の企業生命に関わるような問題であるとすれば,御社は隠密裡に解決したくなります。しかし、ハンシャセイリョクとの間で隠密裡の解決はあり得ません。御社が隠そうとすればするほど、彼らには「美味しい材料」になるのです。御社にとってハンシャセイリョクに握られた弱みが企業生命にかかわるのなら、ハンシャセイリョクと関係を維持することも企業生命に関わるのですから、それ以上恐れることは何もないはずです。「弱み」を素直に認めて改善の努力をすれば再起の可能性が残ります。しかし、一旦ハンシャセイリョクとの関係を指摘されれば、再起の可能性は無いものとお考え下さい。
以上述べましたことは、特別なことではありません。問題が生じたら一人で抱えこまない、というビジネスにとって当たり前のことを述べただけです。