連載: 特許権について(1)
「特許出願のメリット」
今まで数回にわたり知的財産について見てきましたが、今回からはいよいよ特許について少しお話しします。
例えば、あなたの会社で従業員が画期的な発明をし、その発明について特許をとりたいと思ったとしましょう。
その場合、特許登録に至るまでの簡単な手続きの流れとしては、まず、特許を受けようとする事項等を記載した願書を特許庁長官に提出します。その後、1年6月経過後に特許出願の内容が公開されます。また、出願日から3年以内に、出願人は出願審査の請求をすることが出来ます。審査の結果、問題ないと判断されれば特許をすべき旨の査定がなされ、そうすると、特許料を納めることで特許権の設定登録が出来ることになります。
このように、特許を受けようとする場合は手続きに時間がかかるし、費用面でも出願料や特許料などの他にも弁理士に頼んだ場合の弁理士費用(約20万円~50万円)がかかります。また、特許出願すると特許の内容が公開されるわけですから、営業秘密がある程度公になってしまうというリスクも同時に考える必要があるでしょう。
それにもかかわらず特許出願をすることのメリットはどこにあるのでしょうか。
まず、(1)特許権を取得するとその発明を一定期間(出願日から20年)排他的に利用することができます。また、(2)権利として登録しておくことで、他人が無断でその発明を利用することを防ぐことが出来ますし、もし他人が勝手に利用した場合、差し止めや損害賠償請求をすることも可能です。さらに、(3)自社で利用するだけでなく、他社とライセンス契約を締結し、使用料(ロイヤリティ)の支払を受けることで収益を上げることも出来ます。そして、技術力の高さや知的財産重視の姿勢をアピールすることで、(4)取引先に対する信頼が増し、宣伝効果にも繋がるという効果もあるでしょう。
なお、一旦有効に登録された特許権が、第三者の主張によって、後から無効だと判断がされてしまうことも実は少なくありません。無効だという判断は、特許の登録を許したはずの特許庁自身によってなされる場合もありますし、それとは別に裁判所によって判断される場合もあります。そこで次回は、特許権が成立するための要件と併せて、特許権の無効事由について見ていくことにしましょう。