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社会保険労務

平成24年10月1日

4.社会保険って何?(社会保険の基礎知識)

社会保険とは、健康保険厚生年金保険を総称した言葉です。

どういう制度なの?

健康保険とは、労働者やその家族が病気や怪我をしたとき、出産をしたとき、亡くなったときなどに、必要な医療給付や手当金の支給をすることで生活を安定させることを目的とした社会保険制度です。

厚生年金保険とは、労働者が高齢となって働けなくなったり、何らかの病気や怪我によって身体に障害が残ってしまったり、大黒柱を亡くしてその遺族が困窮してしまうといった事態に際し、保険給付を行う制度です。

加入する必要があるのはどんな場合?

以下の事業所は、社会保険の加入が法律で義務づけられており、強制適用事業所となります。

法人事業所(1名でも)

常時5人以上の従業員が働いている事務所、工場、商店などの個人事業所(但し、サービス業の一部や農業、漁業を除く)

それ以外でも従業員の半数以上が社会保険適用事業所となることに同意し、社会保険事務局長の認可を受けた場合などは、適用事業所と同じ扱いになります。

  規 模 業 種
適用業種 任意適用業種
法人事業所 問わない 強制適用
個人経営事業所 5人以上 強制適用 任意適用
5人未満 任意適用 任意適用

適用事業所で常時使用される労働者は全て被保険者となります(但し、70歳以上の人は健康保険のみが対象)。

パートタイマー・アルバイトの場合でも以下のいずれにも該当する場合は原則被保険者として加入する必要があります。

(1)1ヶ月の所定労働日数が、他の通常の従業員の概ね4分の3以上である場合

(2)1日または1週間の労働時間が、他の通常の従業員の概ね4分の3以上である場合

ところで、社会保険なんて入るの面倒だし入らなくてもいいや、と考える方も多いかもしれません。しかし、確かにこれは義務なんだと受け止めた場合煩わしいことと思われるかもしれません。しかし、以下のような社会保険に加入することのメリットを積極的に活用していくつもりで考えてみてはいかがでしょうか。

どういう手続をとる必要があるの?

事業主は「成立手続」と「社会保険料の納付手続」を行う必要があります。

成立手続

管轄する年金事務所に、当該事実発生から5日以内に、「新規適用届」、「被保険者資格取得届」、「健康保険被扶養者(異動)届」などの届出書類に加え、法人登記謄本または事業主の住民票謄本、労働者名簿及び賃金台帳(任意適用事業のみ)、出勤簿またはタイムカード、就業規則及び給与規定、源泉関係書類等、様々な書類の提出または確認が必要とされます(必要書類は各都道府県により異なります)。

社会保険料の納付手続

社会保険料については、会社と従業員が保険料を折半して支払うことになります(労働者負担分は給与から控除され、事業主がまとめて納付します)。具体的には、被保険者(労働者)の報酬から算定された保険料を毎月口座振替の方法で支払います。

保険料は従業員の報酬をもとに決定され、給与の高い人は多く、低い人は少なくなります。その人の給与額を基準に段階的に「標準報酬月額」が決まり、これを元に算定し、年金事務所に「算定基礎届」をします。その「算定基礎届」は毎年7月に届け出ることになります。

なお、社会保険料は頻繁に改正されますので、保険料を誤って徴収してしまったり、年金事務所からの請求額と預かり金額に誤差が生じる可能性が高く、常に最新の改定情報に気を配る必要があります。

以上のとおり、新しく従業員を雇用する場合、社会保険加入の手続が必要です。審査のために多くの書類が必要となってきます。また、加入後も被保険者資格の取得、喪失の管理や保険料の支払など、様々な処理業務が発生します。1年に1回算定基礎届の提出も必要ですし、単に提出だけでなく直接年金事務所に出向いた上で調査を受けなければならないこともあります。

そして、社会保険は、従業員の入退社時に限らず、従業員の私傷病による休業、出産、育児、介護等、突発的事態に対応した手続が必要となります。その場合にもし手続が遅れば従業員の士気にも影響しかねません。

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