平成24年11月30日
「雇用者の雇用の促進に関する法律」は、すべての事業主に対し、雇用する労働者に対して一定割合(障害者雇用率)以上の身体障害者・知的障害者を雇用することを義務づけています。
その率は民間企業で1.8%なのですが、来年(平成25年)4月1日から2.0%に引き上げられます。
また、これまでは従業員56人以上の事業主が対象でしたが、平成25年4月1日からは50人以上の事業主が対象となります。つまり、50名従業員がいれば障害者を1名雇用する必要があるのです。なお、この従業員の数というのは、正社員のほか、週の所定労働時間20時間以上30時間未満のようなパートタイマーについても0.5人としてカウントすることになります。
ちなみに、先日の厚生労働省の発表によると、障害者雇用率を満たしている民間企業は全体の46%と半数に満たないことが判明しました。
雇用率を達成していない事業主は、不足する障害者数分の納付金を納めなければならない(1人につき月額5万円)という障害者雇用納付金制度があります。現在は200人を超える事業主が対象ですが、平成27年4月1日からは、100人を超え200人以下の中小企業事業主にも適用が拡大されますし、今後も適用対象企業は増えることが予測されます。
一方で、その財源をもとに、常時雇用している労働者数が200人を超える事業主が雇用率を超えて障害者を雇用している場合は、超えて雇用している障害者数に応じて1人あたり月額2万7000円の障害者雇用調整金が支給されたり、200人以下の事業主に対しても、一定数を超えて障害者を雇用している場合は、一定数を超える雇用障害者の人数に応じて報奨金が支給される、といった制度も用意されています。
詳細については、高齢・障害・求職者雇用支援機構のHPをご覧下さい。
雇用法定率は今後も見直しが予定されていますし、障害者雇用納付金制度の対象企業の拡大も予想されます。現在50人以上の従業員がいる事業主にとっては、早いうちから障害者雇用率を達成できるように準備しておく必要があると言えるでしょう。
また、法定雇用率の義務を負わない事業主であっても、障害者の雇用にあたっては様々な助成金が用意されています。
特にお勧めの助成金は、次の2つです。
障害者雇用経験のない中小企業が初めて、ハローワーク等の紹介により、障害者を1人以上雇用した場合に支給される奨励金
こちらは、一事業主につき100万円の支給がなされます。
特定求職者雇用開発助成金の1つで、高年齢者や障害者、母子家庭の母等の特に就職が困難な人を、ハローワーク等の紹介により、継続雇用した場合に、賃金の一部を助成するというものです。
こちらの中小企業の場合の具体的な支給額は下の表のとおりです。
対象労働者(一般被保険者) | 支給額 | 助成対象期間 | |
---|---|---|---|
短時間労働者(※)以外 | 高年齢者(60歳以上65歳未満)、母子家庭の母等 | 90万円 | 1年 |
重度障害者等を除く身体・知的障害者 | 135万円 | 1年6か月 | |
重度障害者等 (重度障害者、45歳以上の障害者、精神障害者) |
240万円 | 2年 | |
短時間労働者 (※) |
高年齢者(60歳以上65歳未満)、母子家庭の母等 | 60万円 | 1年 |
身体・知的・精神障害者 | 90万円 | 1年6か月 |
(※)短時間労働者とは、1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の者を指す。
上記助成金も含めて詳しくは、厚生労働省のHPに紹介がされていますので、ご覧下さい。
先の厚労省の発表では、障害者雇用率達成の企業は半数に届いていないとのことでしたが、働いている障害者の数自体は約30万人と、去年より1万6000人増えているそうです。
厚労省もより多くの企業が達成出来るように支援を強化したいと述べており、今後は、新たな助成金の創設など援助策を打ち出してくるかもしれません。注目していきたいと思います。
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