平成26年3月1日
女性従業員が産休、育休に入ると労働力が失われて困る、給付の手続が面倒だ、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんしかし、会社にとってマイナスばかりではありません。それが、社会保険料の免除です。これまで、社会保険料の免除は、育児休業期間中にしか認められませんでした。ところが、平成26年4月からは、産休期間中にまで保険料の免除が認められるようになります。
このほか、女性従業員が出産、育児を行う上で受給できる給付金がいくつかあります。御社は女性従業員から出産や育児の際の給付金について尋ねられたとき、きちんと答えることができますか?手続を依頼されたとき、何も分からなければ会社としての信用を失いかねません。
是非、最低限下記の基本的事柄は整理して押さえておき、出産を控えておられる従業員に対して簡潔に説明できるようにしましょう。
出産に対する給付としては、①出産育児一時金、②出産手当金、育児休業に対する給付として、③育児休業基本給付金があります。
健康保険の加入者が出産したときに支給されます。被保険者だけでなく被扶養者でももらうことができます(例:夫に扶養されている妻、父に扶養されている娘)。健康保険に加入していれば、会社の代表取締役や役員の方でも受給することができます。
被保険者が出産のため、仕事を休み、給与を受けられないときに、健康保険から支給されるものです。出産育児一時金とは異なり、対象は被保険者本人のみで、被扶養者が出産してももらうことはできません。健康保険に加入していれば、会社の代表取締役や役員の方でも受給できることは出産育児一時金と同様です。
被保険者が育児休業のため仕事を休み、給与を受けられないときに、雇用保険から支給されます。
対象者は、1歳(※)に満たない子(実子でも養子でも構いません)を養育するために育児休業を取得した方で、育児休業開始日前2年間に、11日以上出勤した日が12か月以上ある方が対象となります。なお、男女は問いませんので、男性でも取得することができます。但し、育児休業を開始する時点で、終了後に離職することが予定されている方は支給対象とはなりません。
※ 保育所に預けることができない、配偶者が死亡・負傷・疾病等により養育が困難な状態になった場合等やむを得ない事情がある場合は、1歳6か月に達する日前まで延長することができます。
現在、育児休業期間中は、健康保険料と厚生年金保険料が免除されます。これは、被保険者負担分だけでなく、事業主負担分も免除されます。これが、平成26年4月から、産前産後休業を取得した人にも保険料免除を受けることができるようになります。対象者は、平成26年4月30日以降に産前産後休業が終了となる人です。
なお、労働保険についても、休業期間中無給であれば、保険料を支払う必要はありません。
保険免除期間は年金保険料を納付したとみなして、将来の年金額は計算されますので、保険料を免除されたことで受け取る年金額が減ることはありません。
また、すでに育児休業に入った場合でも、育児休業期間中であれば、育児休業開始月まで遡って免除を受けることができます(逆に言うと、育児休業期間中に手続きをしないと免除を受けることができなくなりますので、ご注意下さい)。
なお、これ以外にも、産前42日より前に、出産前のつわりや早産のおそれがある等の理由で労務不能になった場合は、健康保険から「傷病手当金」が支給されることもあります。