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社会保険労務

平成28年10月20日

31.育児・介護休業等に関する改正について

平成29年1月1日から、育児休業・介護休業等に関する法律(正式名称:「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」)の改正法が施行されます。今回はその改正内容とともに、具体的な規定例をご案内いたしますので、「育児・介護休業等に関する規則」といった御社の規則を改訂する際の参考にしていただければと思います。

改正内容を知らずに必要な育児休業・介護休業等を受けさせないということになりますと、厚生労働大臣の勧告及び公表の対象になり得ますので、ご注意下さい。

なお、規定例については、厚生労働省が提示する「育児・介護休業等に関する規則の規定例」から抜粋しておりますので、その他の条項も併せて参照される場合は、厚生労働省のHPをご覧下さい。

育児休業について

有期契約労働者の育児休業を取得するための要件が緩和されます。

[規定例]

育児のために休業することを希望する従業員(日雇従業員を除く)であって、1歳に満たない子と同居し、養育する者は、申出により、育児休業をすることができる。ただし、有期契約従業員にあっては、申出時点において、次のいずれにも該当する者に限り、育児休業をすることができる。

一 入社1年以上であること

二 子が1歳6か月になるまでに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと

介護休業について

介護休業の対象家族を介護するための休業)の分割取得が可能になります。

[規定例]

要介護状態にある家族を介護する従業員(日雇従業員を除く)は、申出により、介護を必要とする家族1人につき、のべ93日間までの範囲内で3回を上限として介護休業をすることができる。ただし、有期契約従業員にあっては、申出時点において、次のいずれにも該当する者に限り、介護休業をすることができる。

(以下略)

子の看護休暇及び介護休暇について

子の看護休暇及び介護休暇の取得単位が柔軟化されます。

[規定例]

子の看護休暇は、半日単位で取得することができる。

介護休暇は、半日単位で取得することができる。

介護のための所定外労働の制限(残業の免除)について

これまで育児のためについては規定がありましたが、新たに介護のための所定外労働の制限(残業の免除)が規定されます。

[規定例]

3歳に満たない子を養育する従業員(日雇従業員を除く)が当該子を養育するため、又は要介護状態にある家族を介護する従業員が当該家族を介護するために申し出た場合には、事業の正常な運営に支障がある場合を除き、所定労働時間を超えて労働をさせることはない。

介護のための所定労働時間の短縮措置等について

介護のための所定労働時間の短縮措置等の利用可能範囲が変更になります。

[規定例]

介護のための短時間勤務をしようとする者は、利用開始の日から3年の間で2回までの範囲内で、短縮を開始しようとする日及び短縮を狩猟しようとする日を明らかにして、原則として、短縮を開始しようとする日の2週間前までに、短時間勤務申出書により人事担当者に申し出なければならない。

その他、育児休業等の対象となる子の範囲について、特別養子縁組の監護期間中の子、養子縁組里親に委託されている子等も新たに対象となりました。また、上司・同僚からのいわゆるマタハラ・パワハラ防止措置を講じることを事業主に新たに義務づける規定が新設されました。

 

ところで、最近の新聞記事によると、政府は、介護と仕事を両立している従業員がいる企業に対し、「介護離職防止支援助成金(仮称)」という助成金を支給する制度を創設する方針を決めたとのことです(平成28年10月7日現在)。

その内容は、1か月以上の介護休業をした従業員が元の職場に復帰すれば、大企業に40万円、中小企業に60万円を支給。また、従業員が介護のために3か月以上にわたって時差出勤等した場合は、大企業に20万円、中小企業に30万円を支給するとのこと。

いずれの場合も介護と仕事の両立に関する相談窓口の設置等支援体制の整備と、従業員による実際の利用が受給の条件となるようです。

この助成金について詳細が判明しましたら、本HPにてご紹介したいと思います。

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