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社会保険労務

平成29年8月7日

38.育児・介護休業等に関する改正について

平成29年10月1日から、育児休業・介護休業等に関する法律(正式名称:「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」)の改正法が施行されます。平成29年1月施行に続く改正ということで、対応が続きますが、今回もその改正内容とともに、具体的な規定例も併せてご案内いたしますので、「育児・介護休業等に関する規則」といった御社の規則を改訂する際の参考にしていただければと思います。 なお、前回同様、規定例については、厚生労働省が提示する規定例から抜粋しております。その他の条項も含めて、育児・介護急騰に関する規則全体の規定例を参照されたい場合は、厚生労働省のHPをご覧下さい。

保育所に入れない場合などに、2歳まで育児休業が取得出来るようになります。

会社が求める基準による評価尺度にあてはめてどのようにランク付けを行うか、という「評価段階」選択の場面についてお話しします。

保育所への入所は一般的に年度初めなので、子が1歳6ヶ月に達してから年度末までは、保育所にも預けられず、かつ育児休業も取得できない期間となっていたことから、改正法では2歳まで延長することでこの問題を解決しました。

[規定例]

次のいずれにも該当する従業員は、子が2歳に達するまでの間に必要な日数について、育児休業をすることができる。なお、育児休業を開始しようとする日は、子の1歳6ヶ月誕生日応当日とする。

(1)従業員又は配偶者が子の1歳6ヶ月の誕生日応当日の前日に育児休業をしていること

(2)次のいずれかの事情があること

ア 保育所等に入所を希望しているが、入所できない場合

イ 従業員の配偶者であって育児休業の対象となる子の親であり、1歳6ヶ月以降育児に当たる予定であった者が死亡、負傷、疾病等の事情により子を養育することが困難になった場合

なお、この改正に併せて、キャリア形成の観点から休業が長時間に及ぶことが労働者本人に望ましくない場合もあるため、事業主が労働者の事情やキャリアを考慮して、育児休業等からの早期の職場復帰を促す場合は、育児休業等のハラスメントに該当しない旨が、育児・介護休業に関する指針に記載されるようになりました(但し、職場復帰のタイミングはあくまで労働者本人の選択に委ねられます)。

 

子どもが産まれる予定の方などに育児休業等の制度を周知させるように努めることが規定されました。

育児休業を取得しなかった労働者にその理由を調査したところ、「職場が育児休業を取得しづらい雰囲気だった」という回答が多かったため、この規定が整備されました。

[規定例]

会社は、育児休業又は介護休業等の取得を希望する従業員に対して、円滑な取得及び職場復帰を支援するために、従業員やその配偶者が妊娠・出産したことや従業員が対象家族の介護を行っていることを知った場合、その従業員に個別に育児休業等に関する制度(育児休業中・休業後の待遇や労働条件、パパ休暇、パパ・ママ育休プラス及びその他の両立支援制度など)の周知を実施する

なお、労働者のプライバシー保護の観点から、労働者が自発的に知らせることを前提としていますので、労働者が自発的に知らせやすいと感じる職場環境の整備(相談窓口設置、ハラスメント防止対策の実施)も必要です。

また、労働者が計画的に育児休業を取得できるように、パパ・ママ育休プラス等の制度についても周知することが望ましいとされています。

小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者について、育児に関する目的で利用できる休暇制度を設けるよう努めなければならなくなりました。

[規定例]

1 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員(日雇従業員を除く)は、養育のために就業規則第○条に規定する年次有給休暇とは別に、当該子が1人の場合は1年間につき○日、2人以上の場合は1年間につき○日を限度として、育児目的休暇を取得することができる。この場合の1年間とは、4月1日から翌年3月31日までの期間とする。

2 取得しようとする者は、原則として、育児目的休暇申出書を事前に人事部労務課に申し出るものとする。

特に男性の育児参加を促進するために設けられた規定です。「育児に関する目的」とは例えば配偶者の出産休暇や、入園式、卒園式などの行事参加といった目的が考えられます。

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