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社会保険労務

平成29年9月9日

39.注目すべき助成金の紹介

平成29年度も多くの助成金について改正や新設が行われました。

今回は新たに設立あるいは整理された助成金の中で注目すべきものを幾つかご紹介いたします。

人事評価改善等助成金

  [助成金の概要]

生産性向上のための人事評価制度と賃金制度の整備を通じて、生産性の向上、賃金アップ及び離職率の低下を図る事業主に対して助成するもので、人材不足の解消を目的とする助成金です。

「制度整備助成」と「目標達成助成」の2つがあります。

  [支給額]

「制度整備助成」:50万円

事業主が生産性向上のための人事評価制度と2%以上の賃金のアップを含む賃金制度(併せて「人事評価制度等」といいます)を整備し実施した場合に支給されます。

「目標達成助成」:80万円

「制度整備助成」に加えて、1年経過後に人事評価制度等の適切な運用を経て、生産性の向上(※)、労働者の賃金の2%以上のアップ、離職率の低下に関する目標のすべてを達成した場合に支給されます。

※「生産性の向上」とは、個々の労働者が生み出す付加価値(生産性)を高めることをいいます。

「生産性」は、次の計算式によって計算し、「生産性要件」を満たすためには、助成金の支給申請等を行う直近の会計年度における「生産性」が、その3年前に比べて6%以上伸びていること、または、その3年前に比べて1%以上(6%未満)伸びていること(この場合金融機関から一定の「事業性評価」を得ていることが必要)

 

  [人事評価制度として満たす必要のある項目]
生産性の向上に資する人事評価制度および賃金制度として、労働組合または労働者の過半数を代表する者と合意していること
評価の対象と基準が明確で、労働者に開示していること
評価が年1回以上行われるものであること
賃金表を定めていること
人事評価制度と賃金との関係が明確であること
④⑤を労働者に開示していること
人事評価制度の実施日の前月とその1年後の同月を比較したときに、賃金(基本給及び諸手当(時間外手当、休日手当)を除く)の額が2%以上増加する見込みであること
⑦について労働組合または労働者の過半数を代表する者と合意していること

その他の要件や支給までの流れ等詳細については、厚生労働省のHPをご覧下さい。

職場意識改善助成金(勤務間インターバル導入コース)

  [助成金の概要]

職場意識改善助成金に、勤務間インターバル導入コースが新設されました。

勤務間インターバル制度とは、勤務終了後、次の勤務までに一定時間以上の「休息期間」を設けることで、労働者の生活時間や睡眠時間を確保するものであり、健康の確保や過重労働の防止に資するものです。

なお、「資本金または出資額」「常時使用する労働者の数」のいずれかが下表に該当する事業主が対象となります。

  資本金または出資額 常時雇用する労働者の数
小売業 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他の業種 3億円以下 300人以下
  [支給額]
  新規導入の場合 適用範囲の拡大・時間延長のみの場合
休息時間数(※) 経費の補助率 上限額 経費の補助率 上限額
9時間以上11時間未満 3/4 40万円 3/4 20万円
11時間以上 3/4 50万円 3/4 25万円

(※)導入する勤務間インターバルの休息時間数のうち最も短いもの

[支給対象となる取組]

○就業規則・労使協定等の作成・変更

○労務管理担当者に対する研修

○労働者に対する研修、周知・啓発

○外部専門家によるコンサルティング

○労務管理用ソフトウェア・機器の導入・更新

○勤務間インターバル導入のための機器等の導入・更新

 

本助成金の詳細は、厚生労働省のHPをご覧下さい。

人材開発支援助成金

[助成金の概要]

この助成金は、以前まで「キャリア形成促進助成金」と呼ばれていた助成金が名称を変え、各コースが整理統合されたものです。

労働者の職業生活設計の全期間を通じて段階的かつ体系的な職業能力開発を効果的に促進するため、雇用する労働者に対して職務に関連して専門的な知識及び技能の修得をさせるための職業訓練などを計画に沿って実施した場合や、人材育成制度を導入し労働者に適用した際に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成するものです。

なお、今回の整理統合により、制度導入コースの「教育訓練・職業能力評価制度」は廃止されました。

[各コースの概要]

 

[訓練関連]
特定訓練コース ・労働生産性の向上に直結する訓練
・雇用型訓練
・若年労働者への訓練
・技能承継等の訓練
・グローバル人材育成の訓練
一般訓練コース 上記以外の訓練
[制度導入関連]
キャリア形成支援制度導入コース ・教育訓練休暇等制度
職業能力検定制度導入コース ・技能検定合格報奨金制度
・社内検定制度、業界検定
[支給額]

※支給額について( )内は大企業の場合の支給額

本年度から労働生産性が向上している企業については、助成率・助成額が引き上げられました。なお、労働生産性については、上記「人事評価改善等助成金」の※印をご参照下さい。

[訓練関連] 

下表の「○」は生産性要件を満たす場合、「×」は生産性要件を満たさない場合

支給対象となる訓練 賃金助成
(1人1時間あたり)
経費助成 実施助成
(1人1時間あたり)
× × ×
特定訓練コース Off-JT 960円(480円) 760円(380円) 60%
(45%)
45%
(30%)
OJT

840円
(480円)
665円
(380円)
一般訓練コース Off-JT

480円 380円 45% 30%

[制度導入関連]

支給対象となる制度 制度導入助成
生産性要件満たす場合

生産性要件満たさない場合

キャリア形成支援制度導入コース 60万円 47.5万円
職業能力検定制度導入コース

 

本助成金の詳細及びコース毎の支給要件等については、厚生労働省のHPをご覧下さい。

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