平成24年12月13日
企業サイドからすると、消費者法は、営業活動への締め付けであるかのように捉えられているかもしれません。実際に消費者法の多くは企業に対する規制法であり、違反行為には、民事的な損害賠償や契約取消のみならず、行政指導や業務停止などの行政的制裁に加え、さらに刑事罰も科されることがあります。そして時としては大きな社会問題にもなり、企業の存続を脅かすことさえもあります。
しかし、消費者法を営業活動への締め付けとだけ捉えていては、その企業の発展は望めません。消費生活の安全や個人取引の安心に直結するのが消費者法なのであり、企業が消費者法を適切に理解して遵守することが強く求められているのが現代社会です。企業として誠実にこれを実践することは、紛争リスクが軽減され、消費者トラブルの減少・対応コストの削減というメリットにつながるばかりでなく、顧客からの信頼を得る手段となったり、悪質な業者を市場から退場させる役割も期待できます。ひいては、健全な業界を作り上げることにも寄与することになります。消費者法を守ることは、健全な事業を行う企業・業界の発展に結び付くものなのです。
とはいえ、ひとくちに消費者法と言っても様々なものがあり、消費者庁の主な所管法律だけを拾い出してみても、下記のようになります。一つの事象に複数の法律が問題となることもあり、消費者法を横断的に理解していることが必要な局面もあります。そんなことからこの連載では、個々の法律を取り出して講義調に解説するのではなく、トピックを拾いあげて、経営知識として役立つものを提供してゆきたいと思っています。
大層なことを書きましたが、身構えていては筆も走りませんので、書く私も、読む皆さんも、お互い肩が凝らないように、気軽に一緒に勉強してゆきましょう。
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