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相続

令和元年11月6日

39.改正相続法の概要について(1)

配偶者の居住権を保護するための方策について 令和2年4月1日施行予定

配偶者の居住権保護のための方策は、大別すると、遺産分割が終了するまでの間といった比較的短期間に限りこれを保護する方策と、配偶者がある程度長期間その居住建物を使用することができるようにするための方策とに分かれています。

 

① 配偶者短期居住権

ア 居住建物について配偶者を含む共同相続人間で遺産の分割をすべき場合の規律

配偶者は、相続開始の時に被相続人所有の建物に無償で居住していた場合には、遺産分割によりその建物の帰属が確定するまでの間又は相続開始の時から6か月を経過する日のいずれか遅い日までの間、引き続き無償でその建物を使用することができる

イ  遺贈などにより配偶者以外の第三者が居住建物の所有権を取得した場合や、配偶者が相続放棄をした場合などア以外の場合

配偶者は、相続開始の時に被相続人所有の建物に無償で居住していた場合には、居住建物の所有権を取得した者は、いつでも配偶者に対し配偶者短期居住権の消滅の申入れをすることができるが、配偶者はその申入れを受けた日から6か月を経過するまでの間、引き続き無償でその建物を使用することができる

 

② 配偶者居住権

配偶者が相続開始時に居住していた被相続人の所有建物を対象として、終身又は一定期間、配偶者にその使用又は収益を認めることを内容とする法定の権利を新設し、遺産分割における選択肢の一つとして、配偶者に配偶者居住権を取得させることができることとするほか、被相続人が遺贈等によって配偶者に配偶者居住権を取得させることができることにする。

 

配偶者居住権を取得した相続人は、建物を相続した相続人に対し毎月の家賃などを支払う必要はないが、配偶者居住権相当額を遺産分割において取得する。その意味において有償である。

注:令和2年4月1日より前になされた遺贈は無効になる。

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