平成24年10月1日
住宅の新築、取得、増改築等をしてそこに居住するに際し借り入れを行った場合、居住年以降10年間、所得税から一定の額を控除することが認められています。一般的に「住宅ローン減税」と呼ばれていますね。
これについては、「夫婦でローンを組んだ方がお得」などとよく言われていますが、その真偽はどうなのでしょう。
認められる控除の額は、その年の住宅ローンの年末残高の1%です 。
夫の所得税額から、控除額を差し引いても余りある場合には、あえて妻も住宅ローンを組んだり、連帯債務者になったりする必要はないでしょう。
例えば、夫のその年の所得税額が40万円、その年の住宅ローン残高が3000万円のとき、控除額は30万円となり、40万円から差し引いてもまだ納付すべき額が残りますから、妻もローンを組む必要はありません。一方、同じ住宅ローン残高で、夫の所得税額が20万円であった場合、20万円しか控除することができず、10万円が無駄になってしまいます。このような場合は、妻もローンを組んでおいた方が得だった、ということになりますね。
しかし、妻がローンを組む場合には、何点か注意しなければならないポイントがあります。
まず、①妻が仕事を続けるのかどうか。
出産その他の事情で仕事を中断またはやめてしまった場合は、控除すべき所得税がなくまたは少なく、満額の控除ができない可能性があります。控除を受けられる期間は、居住し始めてから10年ですので、仕事をしていない期間が長くなるともったいないですね。
また、②夫婦間の負担割合・持分割合をどうするか。
連帯債務の負担割合は、それぞれの返済能力や自己資金の額で決めることになりますが、最大限控除するためには、どのような割合にすべきか、両者の収入等に照らしよく検討する必要があります。
共有名義にした家屋の登記の持分割合と、連帯債務の負担割合を異にしていると、本来負担すべき額と、実際に負担している額の差額を夫婦間の贈与とみなされ、贈与税が課税されることもあります。
総額 | 夫 | 妻 | |
---|---|---|---|
住宅 | 5000万円 | ||
共有持分登記 | 50%(2500万円) | 50%(2500万円) | |
連帯債務の負担割合 | 80%(4000万円) | 20%(1000万円) | |
頭金 | 1000万円 | 800万円 | 200万円 |
年末ローン残高 | 4000万円 | 3200万円 | 800万円 |
本来負担すべき額 | 2000万円 | 2000万円 |
夫は、本来2000万円の負担で済むはずであるのに、3200万を負担することにし、他方、妻も2000万円負担すべきであるのに、800万円しか負担していないから、差額の1200万円は、夫が妻に贈与したことになります。
そして、贈与税の基礎控除額110万円を控除した1090万円に贈与税がかかってしまうことになります。
登記の持分割合と連帯債務の負担割合を同じにしておけば、贈与税が課されることはないでしょう。
詳細はお問い合わせください。
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