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税制知っ得

平成27年6月1日

6.ふるさと納税

最近流行っている「ふるさと納税」。「地方自治体へ寄付を行うことで、税金が控除され、特産品ももらえる」ということはよく知られていますが、どんな税金がどれだけ免除されるのか、どういう手続きが必要なのか具体的に分からないため、二の足を踏んでおられる方もいらっしゃると思います。制度について整理してみましょう。

ふるさと納税の意義

ふるさと納税は、納税者自身が寄付先を選択することができる制度です。「ふるさと」納税と呼ばれていますが、自分の本籍地や住所地である必要はありません。自分が思い入れのある地域、応援したい地域であればどこでも寄付できます。

自分の好きな自治体に寄附することができるので、自治体側も寄附金を集めようと色んなプランを考えています。

一つは、納税の御礼の品を送るというものです。御礼の品というと、その地域の特産品が多いのですが、ふるさと納税の利用が増えるにつれ、その種類も非常に多くなってきました。最近はモノではなく、宿泊券やイベントの利用券なども増えています。納税者も寄付先を選ぶ際には、どんなギフトがあるかを大きな考慮要素にしているのではないでしょうか。

 

また、寄附金の使い道を予め定める自治体も多くあります。こういうイベントをしたい、こういう取り組みをしたい、そのために寄附金を募集しています、というような告知をしています。自分が納める税金が何に使われるかが分かるというのは大事なことで、納税意識も高まります。

これらのギフトや取り組みはふるさと納税のポータルサイトが非常に充実していますので、こちらをご覧ください。

控除される税金

ふるさと納税は寄附金ですから、この寄附により所得税及び住民税が控除されます。控除額は、下限が2,000円で、上限は所得金額や家族構成によって変わってきます。

税金の控除額は次のように計算します。

① 所得税の寄付金控除

寄附金の合計額 - 2,000円 = 寄付金控除額

寄附金控除額 × 所得税率 × 1.021で算出した所得税が軽減されます。

*控除対象の寄付金は、総所得金額の40%が上限となります。

② 住民税の基本控除

(寄附金の合計額 - 2,000円)× 10% = 基本控除額

*控除対象の寄付金は、総所得金額の30%が上限となります。

③ 住民税の特例控除

(都道府県・市区町村に対する寄附金の合計額 - 2,000円)

×(90% - 所得税率 ×1.021)= 特例控除額

*控除対象の寄付金に上限はありませんが、特例控除額は、住民税所得割額の20%が上限となります。

上記の①及び②は、一般的に寄付をした場合の控除額の計算式です(寄付の宛先は限定されています)。③はふるさと納税のみに認められる特別な控除です。

上記の①ないし③を合計すると、自己負担額2,000円を差し引いた残額を控除できるということになります。

 

○具体的な計算例

所得税率20%の方が5万円ふるさと納税をした場合

① 所得税の寄付金控除

( 50,000円 - 2,000円 )× 20% × 1.021 = 9,801円

② 住民税の基本控除

( 50,000円 - 2,000円 )× 10% = 4,800円

③ 住民税の特例控除

( 50,000円 - 2,000円 )×( 90% - 20.42% )= 33,399円

9,801円 + 4,800円 + 33,399円 = 48,000円

よって、48,000円の控除ができるというわけです。

手続

ふるさと納税は、従来は、確定申告をしなければ控除が認められませんでした。

しかし、ワンストップ特例制度という制度が創設され、本来確定申告をする必要のない給与所得者については、寄付先が5団体いないであれば、確定申告なしで控除を受けられることになりました。

寄付の申し込みをする際に、ワンストップ特例の申請書の交付を希望すると、自治体から、寄附金受領証明書と一緒に送ってくれます。

 

住民税の特例控除額は、制度改正前は、個人住民税所得割額の1割でしたが、2割に拡充されました。また、なんといっても、サラリーマンにとってこのためだけに確定申告をする必要がなくなったというのは、この制度の使い勝手を非常に良くするものだと思います。

最近は自治体の謝礼品合戦の様相を呈しており、少し品を欠いているような気もしますが、納税者にとっては、寄付金控除を受けられ、さらに、自己負担額2,000円で、地域の特産物などを受け取ることができ、非常にお得な制度であることは間違いありません。

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