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税制知っ得

平成25年6月6日

14.二世帯住宅の税制上の優遇措置を最大限利用するためには?

家庭を持つ人が両親と同居する場合の住まいのタイプは様々です。例えば、玄関・台所・トイレ等を別にして完全に独立した住まいを上下や左右2つ並べる完全分離タイプ。キッチンのみ一緒に利用する一方、世帯ごとの独立したスペースも確保するタイプ一部分離タイプ。さらには、独立スペースをできるだけ少なくし、二世帯が空間をほぼ一緒に使う完全共用タイプ等。

 

家を新築する際、以下のとおり、一定要件を満たせば、税制上優遇措置が認められます。二世帯住宅の場合、「個別の住戸が2つ」と認められれば、税制上の優遇措置も2倍になります。例えば、

 

①不動産取得税(地方税法第73条の14第1項地方税法施行令第37条の16

【地方税法施行令第37条の16】
 法第73条の14第1項に規定する住宅の建築で政令で定めるものは、次の各号に掲げる住宅の建築の区分に応じ、当該各号に定める住宅の建築とする。
1.共同住宅等(法第73条の14第1項に規定する共同住宅等をいう。次号、第39条の2の3第1項及び第39条の3において同じ。)以外の住宅の建築(新築された住宅でまだ人の居住の用に供されたことのないものの購入を含む。以下この条及び第39条の3において同じ。) 当該建築に係る住宅(当該建築が住宅と一構となるべき住宅の新築である場合にあつては一構をなすこれらの住宅とし、当該建築が住宅の増築又は改築である場合にあつては当該増築又は改築がされた後の住宅とする。以下次条までにおいて同じ。)の床面積(区分所有される住宅にあつては、居住の用に供する専有部分の床面積とし、当該専有部分の属する建物に共用部分があるときは、これを共用すべき各区分所有者の専有部分の床面積の割合により当該共用部分の床面積を按分して得た面積を当該専有部分の床面積に算入するものとする。第37条の18及び第39条の2の3第1項第1号において同じ。)が50平方メートル(当該専有部分が貸家の用に供されるものである場合にあつては、40平方メートル)以上240平方メートル以下の住宅の建築
2.共同住宅等の住宅の建築 当該建築に係る住宅の居住の用に供するために独立的に区画された一の部分のいずれかの床面積(当該住宅に共同の用に供される部分(当該住宅が区分所有される住宅である場合には、当該住宅に係る共用部分を含む。)があるときは、これを共用すべき独立的に区画された各部分の床面積の割合により当該共同の用に供される部分の床面積を配分して、それぞれその各部分の床面積に算入するものとする。次条及び第39条の2の3第1項第2号において同じ。)が、50平方メートル(当該独立的に区画された一の部分が貸家の用に供されるものである場合にあつては、40平方メートル)以上240平方メートル以下の住宅の建築

床面積が50平方メートル以上240平方メートル以下の住宅を新築した場合、課税標準の算定にあたって1200万円を控除することができます。

二世帯住宅の場合は、それぞれの住戸が上記の要件を満たす必要がありますが、これが認められれば控除額が2400万円になります。

 

②登録免許税(租税特別措置法第72条の2第73条

所有権保存登記にかかる登録免許税は0.15%になります(原則は0.4%)。新築の住宅用家屋を取得した場合の、所有権移転登記にかかる登録免許税は0.3%になります(原則は2%)。

 

③固定資産税の減免(地方税法附則第15条の6

【地方税法附則第15条の6】
1.市町村は、昭和三十八年一月二日から平成二十二年三月三十一日までの間に新築された住宅(区分所有に係る家屋にあつては人の居住の用に供する専有部分のうち政令で定める専有部分を有する家屋をいい、区分所有に係る家屋以外の家屋にあつては人の居住の用に供する家屋のうち政令で定める家屋をいう。以下この条、次条、附則第十五条の八第三項及び附則第十五条の九第一項において同じ。)で政令で定めるものに対して課する固定資産税については、次項、次条第一項若しくは第二項又は附則第十五条の八第一項若しくは第三項から第五項までの規定の適用がある場合を除き、当該住宅に対して新たに固定資産税が課されることとなつた年度から三年度分の固定資産税に限り、当該住宅に係る固定資産税額(区分所有に係る住宅にあつてはこの項の規定の適用を受ける部分に係る税額として各区分所有者ごとに政令で定めるところにより算定した額の合算額とし、区分所有に係る住宅以外の住宅(人の居住の用に供する部分以外の部分を有する住宅その他の政令で定める住宅に限る。)にあつてはこの項の規定の適用を受ける部分に係る税額として政令で定めるところにより算定した額とする。)の二分の一に相当する額を当該住宅に係る固定資産税額から減額するものとする。
2.市町村は、昭和三十九年一月二日から平成二十二年三月三十一日までの間に新築された中高層耐火建築物(主要構造部を耐火構造とした建築物又は建築基準法第二条第九号の三イ若しくはロのいずれかに該当する建築物で、地上階数(政令で定めるところにより計算した地上階数をいう。附則第十五条の八第一項において同じ。)三以上を有するものをいう。次条第二項及び附則第十五条の八第一項において同じ。)である住宅で政令で定めるものに対して課する固定資産税については、次条第一項若しくは第二項又は附則第十五条の八第一項若しくは第三項から第五項までの規定の適用がある場合を除き、当該住宅に対して新たに固定資産税が課されることとなつた年度から五年度分の固定資産税に限り、当該住宅に係る固定資産税額(区分所有に係る住宅にあつてはこの項の規定の適用を受ける部分に係る税額として各区分所有者ごとに政令で定めるところにより算定した額の合算額とし、区分所有に係る住宅以外の住宅(人の居住の用に供する部分以外の部分を有する住宅その他の政令で定める住宅に限る。)にあつてはこの項の規定の適用を受ける部分に係る税額として政令で定めるところにより算定した額とする。)の二分の一に相当する額を当該住宅に係る固定資産税額から減額するものとする。

3年間に限り、固定資産税が2分の1になります。対象となるのは、120平方メートルに相当する部分の固定資産税です。例えば、240平方メートルの建物について、120平方メートルずつの二世帯住宅として認められれば、固定資産税は全体として2分の1まで下がります。

 

④所得税の住宅ローン控除(租税特別措置法第41条租税特別措置法施行令第26条

それぞれの住戸について、住宅ローン控除が認められます。

 

では、いかなる要件を満たせば、二世帯住宅として、税制上優遇措置を受けられるのでしょうか。基本的には、区分登記ができる要件が備わっていれば、別々の住戸と認められるわけですから、可能です。

つまり、構造上の独立性及び利用上の独立性があることです(不動産登記法2条22号建物の区分所有等に関する法律1条)。具体的には、各世帯の住まいが壁やドアで遮断されていて他の世帯から独立していること、各世帯に専用の玄関、台所、トイレ等が備わっていること等が必要になってきます。

区分登記がなされていることが、各世帯とも優遇措置を受けるための必須の要件とされているわけではありませんが、区分登記をしないならば、それでも別個の住戸と認められるにはどうすればよいか、予め課税庁や市役所と相談しながら進めていくことが必要です。

 

二世帯住宅の登記の方法としては、区分登記以外にも、単独登記、共有登記があります。

単独登記は、親又は子が全額を自分で負担し、登記名義も親か子のどちらかになります。

共有登記は一つの家屋について、親又は子の双方を登記名義人とします。この場合、持ち分を記載するのですが、気を付けなければならないのは、持ち分割合です。購入する際に親と子がそれぞれ負担した割合に従って持ち分の登記をすることが原則です。例えば、親が全額を出したのに、2分の1ずつの名義にすると、2分の1について親から子に贈与があったと判断され、贈与税が課される可能性があります(もちろん、単独登記でも同じことが言えます。親が全額出損したのに、子の単独名義で登記をすると、家屋を贈与したと認定されてしまいます)。

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