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税制知っ得

平成26年4月30日

21.社会奉仕団体への入会費等は損金算入できるか

会社経営者の方で、社会奉仕団体に入っておられる方は結構いらっしゃると思います。ロータリークラブ、ライオンズクラブ、青年会議所(JC)等。これらの入会金や会費、その他活動に伴ってかかってくる費用が経費となるのか、というのは一度は頭を悩ませる疑問だと思います。

 

ロータリークラブ及びライオンズクラブの入会金等が経費になるのかについては、明確に定めた規定があります。法人税法基本通達9-7-15の2です。ここには、

入会金又は経常会費として負担した金額については、交際費となる。
これら以外に負担した金額については、その支出の目的に応じて寄付金又は交際費となるが、会員たる特定の役員又は使用人の負担すべきものであると認められる場合には、当該役員又は使用人に対する給与となる。

と規定されています。

 

中小法人については、①800万円までの損金算入又は、②支出した飲食費用の50%の損金算入のいずれか有利な方を選択できます(それ以外の法人は、②が適用されます。)(租税特別措置法61条の4

第六十一条の四 法人が平成二十六年四月一日から平成二十八年三月三十一日までの間に開始する各事業年度において支出する交際費等の額のうち接待飲食費の額の百分の五十に相当する金額を超える部分の金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
2 前項の場合において、法人のうち当該事業年度終了の日における資本金の額又は出資金の額(資本又は出資を有しない法人その他政令で定める法人にあつては、政令で定める金額)が一億円以下であるもの(法人税法第二条第九号に規定する普通法人のうち当該事業年度終了の日において同法第六十六条第六項第二号又は第三号に掲げる法人に該当するものを除く。)については、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額をもつて、前項に規定する超える部分の金額とすることができる。
一 前項の交際費等の額が八百万円に当該事業年度の月数を乗じてこれを十二で除して計算した金額(次号において「定額控除限度額」という。)以下である場合 零 二 前項の交際費等の額が定額控除限度額を超える場合 その超える部分の金額
3 前項の月数は、暦に従つて計算し、一月に満たない端数を生じたときは、これを一月とする。
4 第一項に規定する交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(以下この項において「接待等」という。)のために支出するもの(次に掲げる費用のいずれかに該当するものを除く。) をいい、第一項に規定する接待飲食費とは、同項の交際費等のうち飲食その他これに類する行為のために要する費用(専ら当該法人の法人税法第二条第十五号に規定する役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除く。第二号において「飲食費」という。)であつて、その旨につき財務省令で定めるところにより明らかにされているものをいう。
一 専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用
二 飲食費であつて、その支出する金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額が政令で定める金額以下の費用
三 前二号に掲げる費用のほか政令で定める費用
5 第二項の規定は、確定申告書等、修正申告書又は更正請求書に同項第一号に規定する定額控除限度額の計算に関する明細書の添付がある場合に限り、適用する。
6 第四項第二号の規定は、財務省令で定める書類を保存している場合に限り、適用する。

入会金や経常会費以外の支出が交際費にあたるかどうかを考えるにあたっては、「交際費」の定義をもう一度復習しておく必要があるように思います。

交際費とは、「交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(以下この項において「接待等」という。)のために支出するもの」を言い(租税特別措置法61条の4第4項)、1ないし3号の除外事由が定められています(ここでは割愛します。)。

 

ロータリークラブやライオンズクラブに入っていると、親睦目的で団体旅行や会食をすることも多々あるでしょう。クラブの目的は社会奉仕活動にありますが、会合への参加を通じて各業界の経営者等と懇親を深めることができ、それが業務の拡大につながるという面もあります。そのような意味においては、団体旅行や会食にかかる費用の支出も、役員個人に対する給与ではなく、交際費に該当するでしょう(交際費は一定の範囲内で損金算入となりますが、役員個人に対する給与となると、本件では、損金算入しうる給与に該当しないため、損金不算入となります)。

 

では、青年会議所(JC)はどうでしょう。JCは上記2つのクラブと違って、明確な規定がありません。

青年会議所は満40歳までの会社経営者や経営者の二世、個人事業主等が加入し、社会奉仕活動にあたっています。活動の趣旨はロータリークラブやライオンズクラブと同じであり、同様に扱って良いようにも考えられます。しかし、法人税基本通達逐条解説によると、JCは上記2クラブとは異なり、会費も割安であり、会費の使途を見ても一般に交際費に当たるような支出に充てられている部分はごく少ないため、直ちに上記2クラブと同列に扱うことは相当ではなく、個々のJCの事業内容に照らして、それが法人にとって交際費以外の事業経費としての性格があると認められる場合には、その内容に応じて取り扱うことが相当と解されています。ロータリークラブやライオンズクラブの会費は定期会合の際の食事代等に使われることが多いですが、JCの会費は一般的にイベント開催の会場費用や講演費用等に使われることが多く、食事代等に使われるということはほとんどないようです。このような違いに鑑みて、JCについては通達で一般的に規定せず、個別事情に応じて判断することにしたようです。

具体的に検討してみましょう。今、多くの企業が、CSR活動(corporate social responsibility)をしています。例えば、環境保全活動や、次世代育成支援、人権尊重啓発、東日本大震災復興支援等、企業は様々な種類の社会奉仕活動を実践しています。このような社会奉仕活動を企業の事業の一つと掲げているのであれば、同様に社会奉仕活動を行っているJCへの入会費や年会費を損金算入して良いでしょう。他方、団体旅行や会食にかかる費用の支出は、ロータリークラブの場合と同様、交際費に該当するでしょう。

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