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税制知っ得

平成27年9月1日

32.住宅取得資金等の贈与

「息子が家を建てるので資金を出してあげたい」そんなときに使える節税制度のご紹介です。

これまで、「教育資金贈与」「婚姻資金贈与」等、贈与に関するお得な税制をご紹介してきました。同様に、住宅取得資金を贈与する場合にも、大きな控除が認めるという制度があります。

これは、父母や祖父母などの直系尊属から、住宅の取得または増改築の費用にあてるために金銭を取得した場合、一定額(最高額3000万円)を上限として贈与税が非課税となるというものです。

細かい要件はさておき、重要なポイントをいくつか押さえておきましょう。

 

①「住宅用の家屋」というのは、新築でも中古でも構いませんが、床面積50㎡以上240㎡以下、かつ、床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住の用に供されるものであることが必要です。

 

贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を、住宅用の家屋の取得等に充てることが必要です。住宅を新築する場合は、贈与を受けた年の翌年3月15日において、屋根を有し、土地に定着した構造物として認められる状態になっていることが必要です。建売住宅や分譲マンションを購入する場合は、3月15日までに引き渡しを受けておく必要があります。

 

贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住し、又は同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれることが必要です。翌年12月31日までにその家屋に居住していないときは、この制度の適用を受けることができず、贈与税の修正申告が必要になります。

 

④増改築の場合は、工事に要した費用の額が100万円以上であることが必要です。

 

⑤平成27年末までに省エネ等の住宅(所定の省エネ設備、耐震設備、バリアフリー等を備えた住宅)を取得すれば1500万円、上記以外の住宅であれば1000万円が控除されます。この制度は平成31年6月30日までに契約を締結した分まで対象となりますが、平成27年末以降、限度額が毎年下がっていきます(一方、平成29年4月から消費税が10%に増税されますが、10%で住宅を取得した場合は、限度額も大きくなっています)。

 

⑥この制度を利用するには、贈与税の申告期間内(贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日まで)に贈与税の申告書類等を提出する必要があります。

 
住宅用家屋の取得等に係る
契約の締結期間
①住宅を消費税10%で取得 ② ①以外
良質な
住宅用家屋
左記以外の
住宅用家屋
良質な
住宅用家屋
左記以外の
住宅用家屋
~平成27年12月 1,500万円 1,000万円
平成28年1月~平成28年9月 1,200万円 700万円
平成28年10月~平成29年9月 3,000万円 2,500万円 1,200万円 700万円
平成29年10月~平成30年9月 1,500万円 1,000万円 1,000万円 500万円
平成30年10月~平成31年6月 1,200万円 700万円 800万円 300万円

さらに、他の贈与税の控除制度と併用が可能です。

贈与税には、暦年課税と相続時精算課税の2つの制度があります。2つの課税方法との関係で、この制度を利用すればどの程度節税になるのか、具体的に検討してみます。

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