令和4年1月11日
本年に行われる税制改正のもととなる税制改正大綱が昨年末公表されました。事業者一般にとって、特に注目すべき改正点をピックアップしてみました。今回の改正は、従来からの制度の手直しが中心でした。特に、これから徐々に細かな要件が明らかになっていくので、留意しておきましょう。
成長と分配の好循環の実現
(1) 積極的な賃上げ等を促すための措置
(中小企業者等)
青色申告書を提出する中小企業者等が、国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、
その年度の給与等の支給総額が、前年度の給与等支給総額に比べ1.5%以上増加したときは、正味増加した金額の15%を法人税の額又は所得税の額から控除できる。
また、その年度の給与等の支給総額の増加割合が2.5%以上であるときは、税額控除率が10%上乗せされる。
さらに、その年度の教育訓練費の額が、前年度の教育訓練費の額に比べ10%以上増加したときは、税額控除率が10%上乗せされる。
(大企業)
青色申告書を提出する大企業が、国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、
①その事業年度の継続雇用者給与等支給額が、前年度の継続雇用者給与等支給額に比べ3%以上増加したときは、その事業年度の前年度から正味増加した雇用者給与等支給額の15%を法人税又は所得税の額から控除できる。
また、①の増加割合が4%以上であるときは、税額控除率が10%上乗せされる。
さらに、その事業年度の教育訓練費の額が前年度の教育訓練費の額に比べ20%以上増加したときは、税額控除率が5%上乗せされる。
(2)中小・小規模事業者の支援
法人版事業承継税制について、今般の感染症の影響を考慮し、特例承継計画の提出期限を令和6年3月末まで1年間延長する。
電子帳簿等保存制度の見直し
電子取引に係るデータ(電子メールで受領した請求書、領収書等(PDFファイル等))については、令和4年1月1日から、紙による保存ではなく、電子的保存義務がある。
しかし、保存要件に従って保存をすることができなかったことについてやむを得ない事情がある場合、必ずしも所定の要件を満たさなくても許容する(令和5年12月31日までの経過措置)。
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