平成24年10月1日
私は、事務所で受任する事件以外にも、個人としていくつかの弁護団に所属して活動を行っています。中でも、最も力を入れているのは、薬害肝炎訴訟弁護団、B型肝炎訴訟弁護団における「恒久対策」という分野の活動です。
1969年から1994年までに、出産されたり、手術を受けられたりした方の中には、その際に血液製剤を投与され、それが原因でC型肝炎になってしまった方がたくさんいらっしゃいます。その方々が、国や製薬会社に対し損害賠償を求めて提起した訴訟が薬害肝炎訴訟です。また、幼い頃、集団予防接種を受け、B型肝炎になってしまった方が、国に対して提起している訴訟がB型肝炎訴訟です。
いずれも、長年にわたる訴訟の末、国は責任を認め、原告団・弁護団と和解し、基本合意を締結しています。
基本合意の中で、国は、ウィルス性肝炎患者が安心して暮らせるよう、肝炎医療の提供体制の整備や、肝炎医療にかかる研究の推進等必要な措置を講じることを約束しています。国がこの約束を実践し、全てのウィルス性肝炎患者が安心して暮らしていけるように、国や自治体の動きを監視し、働きかけていく必要があります。このような活動を「恒久対策活動」と呼んでいます。
多くの原告や諸先輩弁護士が、国に責任を認めさせるべく、法廷闘争を繰り広げているとき、私はまだ弁護士になっていませんでした。しかし、国や企業という巨大な権力に抗い、戦う弁護士の姿を見て、自分もいつかこのような活動をしたいという思いを強くしました。そして、弁護士になってから、入れてもらったのが薬害肝炎訴訟の弁護団です。
これらの訴訟によって救済される方というのは、全てのウィルス性肝炎患者の一部です。しかし、証拠がないという理由で訴訟で救済されない方を切り捨てることは許されず、医療費の助成や、肝炎医療を充実させることにより、少しでも負担が楽になればと思いながら活動しています。基本合意を獲得するまでの闘いに参加できなかった分、今後も長く続いていく国との交渉に力を入れていきたい、そのために日々、医学文献や厚生労働省の会議・検討会等の議事録を読み漁っています。
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