トップページ > プロボノエッセイ > 公益財団法人交通事故紛争処理センターのご紹介
平成25年12月4日
交通事故の被害に遭われた方は、加害者が加入する損害保険会社と被害弁償について交渉することになります。しかし、被害者の方は突然の事故に遭い、身体的にも精神的にも、さらに経済的にもダメージを受けておられることでしょう。ただでさえそのような不利な状況のなかで、被害者との交渉を仕事とする大企業(保険会社)の社員と、一市民が対等に交渉するのは至難のことです。もちろん、被害者のかたが弁護士を依頼されれば弁護士が保険会社と交渉して正当な賠償を勝ち取ることは可能です。しかし、弁護士に知り合いがいない、伝手が無いなどの場合は弁護士に依頼することも困難な方もおられます。公益財団法人交通事故紛争処理センターはそのような方にも公平中立の立場から所属の弁護士が示談のあっせんを行っている全国的な団体です。私も大阪支部の嘱託弁護士として毎週1回示談のあっせんを行っています。
ところで、交通事故の賠償には、自賠責保険基準と、任意保険基準さらに裁判基準と言われるものがあることはご存知でしょうか。これらはいずれも被害を金額で算定するときに用いられる基準です。自賠責基準は政府が運営する自賠責保険において、被害者の方への最低限の補償をするための基準です。最低限の補償であり、法律上認められる賠償と一致するとは限りません。多くの場合は法律上認められる金額より低廉であることが多いと思います。任意保険基準は、保険会社が自賠責保険の保険金に上乗せして支払うために基準を設けているものです。これも法律上認められる賠償額とは必ずしも一致せず、低廉であることが多いのです。多くの被害者の方は、日本を代表するような大企業の社員が言うのであるから、それが公平妥当な賠償額だと思ってしまわれるのですが、保険会社も営利企業ですから支払う額はできるだけ低く抑えたいと思うのは自然の成り行きです。
裁判基準は、裁判所が裁判手続きによって認めるものです。これは裁判所が法律に従って損害額を認定するものですから、これ以上の損害認定はあり得ないことになります。しかし、この裁判基準を適用してもらおうとすれば、裁判という非常に時間と手間がかかり、裁判知識のない一般の方が裁判をすることは困難です。
そこで、公益財団法人交通事故紛争処理センターでは、保険会社と協定を結び、裁判手続きによらなくても被害者の方に裁判基準に従った賠償がなされるようにしようとするものです。このセンターは東京本部以外に全国に7つの支部があり、あっせん担当の弁護士による示談あっせんが行われています。もちろん、この手続きを利用するにも弁護士に依頼されることもできます。
交通事故の被害に遭われて誰に相談していいかわからないとお悩みの方は、このセンターをご利用されることをお考えください。
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