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企業支援エトセトラ

令和2年5月1日

18.新型コロナウイルス対策支援金

新型コロナウィルスの感染拡大により多くの事業者・国民の収入が急減しました。このような状況に鑑み、政府から緊急経済対策が打ち出されました。その中には、いくつかの給付金があります。昨日(令和2年4月30日)、これを裏付ける歳出規模が25.7兆円の補正予算が可決され、補正予算が執行されることになりました。

以下が、補正予算に盛り込まれた施策のうち、代表的かつ重要と思われるものをピックアップしました。時間の経過とともに、今後の展開によっては変更もありうることかと思います。何らかの不都合や何らかの支援の必要性を感じたときには、諦めず、所轄官庁に確認してみてください。

雇用調整助成金の特例

一時的に休業等または出向を行うことで労働者の雇用維持を図る場合に、その休業手当や賃金等の一部を助成。4月8日以降特例措置が拡充され、要件を緩和、助成率を拡大(中小企業は最大9割、休業要請を受けた中小企業が解雇せず100%の休業手当を支払った場合は最大10割)。しかし、助成金の支給額1人当たり日額8,330円が上限額です。

例えば、ある中小企業の労働者の平均賃金が1万6,000円として、20日間、休業手当60%を支給している場合、支払額は、19万2,000円ですが、1万6,000円×60%=9,600円の9割8,640円>8,330円ですので、(8,640円-8,330円)×20日=6,200円が、助成金でカバーされないことになります。また、100%の休業手当を支払った場合で、全額助成金でカバーされるのは、月所定労働日数を20日とすれば、月給が、8,330円×20日=166,600円の時に限られるということになります(なお、本助成金の支給額は、前年度の雇用保険料の算定基礎となった賃金総額等を基準に決定されますので、必ずしも実際に支払った休業手当に助成率をかけた金額とは一致しません)。しかも、解雇ゼロが絶対条件です。

この一人一日8,330円の壁は問題視されているところですが、企業としては、人材を確保しながら、慎重に資金繰り計画を立てるべきです。

なお、手続の繁文縟礼が問題視されているところ、5月中にもオンラインでの申請を認めるようです。そうなれば、交付までの期間を短くしてもらえそうです。

 

※追記(R2.6.1)

その後、日額上限額について、8330円から1万5千円に引き上げられる予定が発表されましたが、手続の詳細は公表されていません。

また、小規模事業主(概ね従業員20人以下)については、申請手続が簡素化され、助成額の算定方法も源泉所得税の納付書を用いて算定できるようになるなど変更されています。なお、オンライン申請は不具合により稼働が延期されています。

 

小学校休業等対応助成金

労基法上の年次有給休暇とは別に有給休暇を取得した労働者に支払った賃金を助成。対象となる休暇取得の期間は6月30日まで。しかし、助成金の支給額1人当たり日額8,330円が上限額です。

こちらの制度でも、上記1の通り、よほど条件がそろわなければ、企業が最終的な負担者になります。

 

なお、個人が業務委託契約等で仕事をされている方向けの支援金制度(小学校休業等対応支援金)も用意されています。もっとも、さらに低い、助成金の支給額1人当たり日額4,100円が上限額です。

 

※追記(R2.6.1)

「小学校休業等対応助成金」の助成金額の上限を、従来の1日あたり8330円から1万5000円に引き上げ、「小学校休業等対応支援金」の支援金も、従来の1日あたり4100円から7500円に引き上げることが発表されました。また、それにともない、双方とも対象となる休暇等の期限が従来の6月30日から9月30日まで広げられました

 

IT導入補助金2020

IT支援事業者を選択し、申請と導入のサポートをしてもらい、これにかかる経費の2分の1(自己負担分30万円から450万円)を補助。5月11日から公募開始。

うち、新型コロナウィルスに関する特別枠については、通常の場合、申請後に導入した場合のみ補助の対象にならないところ、遡って2020年4月7日から5月10日までの間に実施した場合も対象になる場合があります。

こちらは、オンライン申請となっているので手続が比較的容易です。

 

また、これに類似しますが、働き方改革推進支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース)があります。新型コロナウイルス感染症対策としてテレワークの新規導入に取り組む場合に、対象経費の一部を助成(補助率1/2、上限100万円)。遡って、支出の対象となる事業の実施期間が令和2年2月17日から同年5月31日までとなっているはメリットですが、補助対象期間が限定されている点で窮屈です。5月29日必着。

 

持続化給付金

新型コロナウイルス感染症の影響により、売上が前年同月比で50%以上減少している中小企業に対して、前年の総売上(事業収入)-(前年同月比▲50%月の売上×12ヶ月)が給付(上限 法人は200万円、個人事業者等は100万円)を給付。

こちらは、本日5月1日から申請が開始されました。オンライン申請もありますので手続が比較的容易です。

 

休業協力金

各都道府県において、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態措置により、知事から休業の協力要請等を受けた中小企業を対象に、支援金を支給。

関係する都道府県の該当ページをご覧いただければ、対象業種の一覧表が掲載されています。もっとも、表記が抽象的なため、貴社がどの分類に当たるのかわかりにくいことがあります。

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