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民法改正について

令和元年9月6日

14.契約不適合ルール(1)

売買契約などで、引き渡された目的物に欠陥などがあった場合の、売主と買主の関係につき、大きな改正がなされました。概要を示しますと

現行法では、「瑕疵担保責任」という難解な文言で、しかも民法が定めた特別な責任と  いう理解でしたが、改正法は「債務不履行」責任の特則と整理されました。
「瑕疵」という文言がなくなり、「引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるとき」と内容が明らかにされました。
現行法では、瑕疵は「隠れた」ものであること、買主が瑕疵の存在を知らなかったことが要件でしたが、改正法では削除されました。
目的物の数量不足も「契約不適合」とされることが明らかとなりました。
売買の目的「物」の「種類」・「品質」の不適合の場合、買主は契約不適合を知った時から1年以内でなければ売主に責任追及できなくなります(「物の数量不足」と「権利の不適合」については一般の消滅時効の規制となります。)。
また、商人間の売買では、「種類」・「品質」及び「数量」について、「直ちに発見することができない場合」、6か月以内でないと責任追及できません(商法526)。
買主の「追完請求権」が明記されました。
買主に「代金減額請求権」が認められました。

となります。

 

以上の点は、次回以降に説明いたしますが、要は、売主と買主は契約にあたり、何を考えていたか、が重要となってきます。特に商人間では、単に売る・買うというだけでなく、何のために契約をするのか、どのような品質を要求するのか、数量は必ず達せられるべきか(今まで土地の売買では、数量(面積)は特段の事情のない限り、代金を決定するうえでの事情に過ぎないとして、契約書に記載された面積が足らなくても契約は有効とされていました。)、納期を守らないと追完の意味がない場合なのか、など詳しい事情を記載すべき場合があると思われます。

今後は、契約書の重要性が益々増大することになります。

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