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社会保険労務

平成25年8月30日

19.現在活用できる助成金の紹介②(その他)

今回も引き続き、活用をお勧めする助成金のご紹介です。

なお、各助成金の支給額は中小企業事業を基準とし、大企業は( )内の金額となります。中小企業事業主の範囲は、「資本期の額・出資の総額」「常時使用する労働者の数」のいずれかが下表に該当する事業主です。

  資本金の額・出資の総額 常時雇用する労働者の数
小売業 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他の業種 3億円以下 300人以下
キャリアアップ助成金
[助成金の概要]

この助成金は、以前まで「均等待遇・正社員化推進奨励金」と呼ばれていた助成金が形をかえて創設されたものです。

有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者といった、いわゆる非正規雇用の労働者の企業内でのキャリアアップ等を促進するため、正規雇用への転換、人材育成、処遇改善などの取組を実施した事業主に対して助成されるものです。

なお、この助成金はいくつかのコースを選択して支給申請することができるのですが、全コースに共通する要件として、「キャリアアップ計画」を作成し、管轄労働局長の受給資格認定を受ける必要があります。作成にあたっては、ガイドライン(厚労省HP)が出されていますので、それに沿って作成します。

「キャリアアップ計画」は、3年~5年程度の計画で、キャリアアップ管理者を決め、ガイドラインに沿って作成します。作成には対象となる有期契約労働者及び無期雇用労働者の意見が反映されるように、労働組合等の労働者の代表者から意見を聴きます。

[各コースの概要と支給額]

※支給額について( )内は大企業の場合の支給額

この助成金の対象となるコースは以下のとおりです。なお、各コースを複数選択することもできます。

① 正規雇用等転換コース

正規雇用等に転換等する制度を規定し、有期契約労働者等を正規雇用等に転換した場合に助成するコース

[支給額]

(平成26年3月1日から平成28年3月31日まで拡大された金額)

転換等の内容 1人あたりの支給額 母子家庭の母等または父子家庭の父の場合の加算額
①有期労働→正規雇用 50万円(40万円) 10万円
②有期雇用→無期雇用 20万円(15万円) 5万円
③無期雇用→正規雇用 30万円(25万円) 5万円

※1年度1事業あたり15人(②は10人)まで支給

 

② 人事育成コース

有期契約労働者等に一般職業訓練(Off-JTまたは有期実習型訓練(Off-JTとOJTを行った場合に助成するコース

[支給額]

(平成26年3月1日から平成28年3月31日まで拡大された金額)

Off-JT分の支給額  賃金助成・・・1人1時間当たり800円(500円)

           経費助成・・・Off-JTの訓練時間数によって以下のとおり

           100時間未満の場合:1人当たり10万円(7万円)

           100時間以上200時間未満の場合:1人当たり20万円(15万円)

           200時間以上の場合:1人当たり30万円(20万円)

OJT分の支給額    実施助成・・・1人1時間当たり700円(700円)

※1年度1事業所当たりの支給限度額は500万円

 

③ 処遇改善コース

すべての有期契約労働者等の基本給の賃金テーブルを改定し、2%(平成26年3月1日から平成28年3月31日まで要件が3%から緩和)以上増額させた場合に助成するコース

[支給額]

1人当たり1万円(0.75万円)

※1年度1事業所当たり100人まで

 

④ 健康管理コース

有期契約労働者等を対象とする「法定外の健康診断制度」を規定し、のべ4人以上実施した場合に助成するコース

[支給額]

1事業所当たり40万円(30万円)

※1事業所当たり1回のみ

 

⑤ 短時間正社員コース

短時間正社員制度(※説明)を規定し、雇用する労働者を短時間正社員に転換し、または、短時間正社員を新規で雇い入れた場合に助成するコース

[支給額]

1人当たり20万円(15万円)

対象者が母子家庭等の母等または父子家庭の父の場合、1人当たり10万円加算

※⑥コースの人数と合計して、1年度1事業所当たり10人まで

 

⑥ 短時間労働者の週所定労働時間延長コース

週所定労働時間25時間未満の有期契約労働者等を週所定労働時間30時間以上に延長した場合に助成するコース

[支給額]

1人当たり10万円(7.5万円)

※⑤コースの人数と合計して、1年度1事業所あたり10人まで

本助成金の詳細及びコース毎の支給要件等については、厚生労働省のHPをご覧下さい。

両立支援助成金
[助成金の概要]

従業員の職業生活と家庭生活の両立を支援するための制度を導入し、制度の利用を促進した事業主等に対して支給する助成金です。

以下の3種類が用意されています。

 

① 事業所内保育施設設置・運営等支援助成金

労働者のための保育施設を事業所内(労働者の通勤経路またはその近接地域を含む)に設置、増築など行う事業主等にその費用の一部を助成するものです。

[支給額]

※( )内は大企業の場合

例えば、設置費については、建築または購入に要した経費として、3分の2(3分の1)を助成します。※上限額は2300万円(1500万円)

その他に運営費や増築費も助成の対象となります。詳しくはこちらをご覧下さい。

 

② 子育て期短時間勤務支援助成金

子育て期の労働者(小学校3年生終了までの子どもを養育する労働者)が利用出来る短時間勤務制度を導入し、利用者が初めて出た場合に事業主に支給される助成金です。

短時間勤務制度とは、1日の所定労働時間が7時間以上の労働者について、1日の所定労働時間を1時間以上短縮している制度のことをいいます(ただし、3歳未満の子を養育する労働者が利用する場合、1日の所定労働時間を原則として6時間とする制度を含むことが必要です)。

[支給額]
企業規模 制度利用者1人目 制度利用者2人目以降(1人当たり)
中小企業事業主(※) 40万円 15万円
上記以外の企業 30万円 10万円

③ 中小企業両立支援助成金

以下の各コースに対して支給される助成金です。

Ⅰ 代替要員確保コース

育児休業を終了した労働者を原職または原職相当職に復帰させる旨の取扱いを就業規則などに規定したり、実際に休業取得者を原職または原職相当職に復帰させた場合、などに支給されます。

[支給額]
支給対象労働者1人当たり 15万円

※1企業当たり5年間、1年度のべ10人まで

Ⅱ 休業中能力アップコース

育児休業または介護休業取得者を円滑に職場復帰させることを目的として、次のいずれか1つ以上の職場復帰プログラムを実施した中小企業事業主に支給されます。

①在宅講習 ②職場環境適応講習 ③職場復帰直前講習 ④職場復帰直後講習

[支給額]
支給限度額 21万円

※1企業当たり育児・介護それぞれ5年間、1年度のべ20人まで

Ⅲ 継続就業支援コース

育児休業取得者を原職または原職相当職に復帰させ1年以上継続して雇用したり、両立を支援する制度の内容の理解や利用促進のための職場研修を実施した場合、などに、従業員規模100人以下の事業主に対して支給されます。

[支給額]
育児休業取得者 支給額
1人目 40万円
2人目から5人目まで 15万円

Ⅳ 期間雇用者継続就業支援コース

期間雇用者と正社員が同等の要件で利用出来る育児休業制度、育児短時間勤務制度を就業規則に規定したり、期間雇用者の育児休業取得者を原職または原職相当職に復帰させた場合、などに支給されます。

育児休業取得者 支給額
1人目 40万円
2人目から5人目まで 15万円
期間雇用者の育児休業取得者が正社員として復職した場合 1人目 10万円加算
2~5人目 5万円加算

なお、Ⅰ、Ⅱ、Ⅳコースについては、事業主が数値目標を含む内容の目標を宣言し、当該数値目標を達成した場合は、支給額が5万円(1企業当たり1回限り)の加算があります。

本助成金の詳細及びコース毎の支給要件等については、厚生労働省のHPをご覧下さい。

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