平成25年3月27日
今回から、いよいよ具体的な各論に入っていきましょう。企業にとっては消費者は取引(契約)の相手ですので、契約の入口である勧誘段階(広告・交渉)、成立段階(締結・内容)、成立後に分けて問題点を整理してゆくのがよいと思います。そこで各論の初回は、勧誘段階における「広告規制」です。
広告規制と言っても、さまざまな場面で違う種類の法律などが問題となりますので、1回ではとても論じきることは出来ません。今回は、広告規制全体のアウトラインを鳥瞰して頂くこととし、次回から数回にわたって、個別の広告規制を勉強してゆきましょう。
広告規制には、
(1)全ての企業を対象とする「独占禁止法」「景品表示法」による一般的な規制、
(2)特定の業種業態(「特定商取引法」が対象とする訪問販売など)に向けられた広告規制、
(3)商品を特定して(食品・医薬品・その他)規定する規制、
(4)法律によらない、業界団体や広告媒体等による自主規制
があります。
これらの広告規制は、主に行政的なルールであり、違反に対しては、業務停止や措置命令、指導などの行政処分がなされたり、刑事罰を伴うことがあります。しかし、民事効(例えば、広告が規制違反の時に契約を無効にしたり、損害賠償責任を認めるなど)については直接的な規定はありません。
しかし、虚偽の広告により消費者が契約内容を誤解したような場合は、錯誤無効(民法95条)や不実告知による取消(消費者契約法4条1項)の問題が生じ得ますし、無効や取消までは認められない場合でも、損害賠償責任が発生することはありえますので、注意してください。
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