トップページ  >  連載  >  税制知っ得7

税制知っ得

平成24年11月30日

7.現物支給をうまく利用して福利厚生を充実させよう

従業員に気持ち良く働いてもらうためには、福利厚生を充実させることが重要です。物を支給したり、金銭を提供したりして様々な福利厚生の制度を考えておられる会社も少なくないでしょう。

しかし、物の支給や金銭の提供は、その内容によっては給与所得と評価されることもあり、その場合には、源泉徴収し、納税しなければなりません。給与の支払いではないのでついうっかり忘れてしまうと、不納付加算税や延滞税が課されてしまいます。

 

今回は、そんな心配のない非課税の福利厚生制度についていくつかご紹介致します。

支出項目 根拠 ポイント
宴会費用 租税特別措置法関係通達[法人税編]61の4(1)-10 例えば、新年会、忘年会、創立記念日のパーティー等です。これは、社内の行事として行うことが必要となります。つまり、一部の従業員のみ集めたり、外部から取引先の人を呼んだりすれば、福利厚生にはあたらず、交際費という扱いになります。
また、常識的な範囲を超えた飲食代については全額福利厚生とすることはできません。
慶弔見舞金 租税特別措置法関係通達[法人税編]
61の4(1)-10
社内で一定の基準を決めること、それに基づいた支払いであることが必要です。
永年勤続者の記念品 所得税基本通達
36-21
会社に長期間勤続した役員や使用人を表彰する意味で、旅行や観劇等に招待したり、記念品を支給する場合です。表彰の対象者は、10年以上の勤続年数を有し、2回以上表彰を受ける場合は、5年以上の間隔をおく必要があります。
創業記念品等 所得税基本通達
36-22
創業記念、増資記念、工事完成記念等で、支給する記念品を指します。ただし、社会通念上、記念品としてふさわしいものであること、1万円を超えないことが必要です。また、創業記念のように、一定期間ごとに記念日が到来する場合は、5年程度の期間をあけることが必要です。
自社商品の値引き後価額 所得税基本通達
36-23
従業員に対し、自社の商品を値引きする場合は、値引き後価格と通常価格との差額が従業員への経済的利益となりますが、これも以下の要件を満たした場合には、課税されません。
値引き後価額が取得価額以上であり、通常価格のおおむね70%未満でないこと
値引き率が、役員若しくは使用人の全部につき一律に、または、地位や勤続年数等に応じた合理的な格差を設けて設定していること
③ 値引き販売の商品数が、一般の消費者が自己の家事のために通常消費すると認められる程度のものであること
食事代 所得税基本通達
36-24
食事代の50%を従業員が負担し、会社負担額が月3500円以内である場合は、福利厚生費となります。ただし、ここにいう食事代とは、会社が調理又は購入して支給するものに限られるので、お弁当代を渡す、というのは認められません。
残業又は宿日直をした者に対する食事代は、相当な価額であれば、全額非課税です。
健康診断費用 所得税基本通達
36-29
健康診断や人間ドックの検査費用。しかし、役員だけを対象とする場合は、福利厚生費になりません。
社員旅行等 所得税基本通達
35-30
社員旅行の費用。ただし、旅行に要する期間が4泊5日以内(目的地が海外の場合は海外での滞在日数による)で、参加従業員数が全従業員の50%以上であることが必要です。また、参加しない従業員に旅行費相当額の金銭を支給する場合は、給与扱いとなりますので、ご注意を。
資格取得費等 所得税基本通達
9-15
役員又は使用人に職務に必要な技術や知識を習得させ、又は免許や資格を取得させるために必要な費用。
学資 所得税基本通達
9-16
役員又は使用人の修学の費用。ただし、大学や高等専門学校は含まれません。
制服、作業服等 所得税法施行令
21条2号
勤務場所のみにおいて着用するものであることが必要です。会社名や会社のロゴが入っているものであれば、まず大丈夫でしょう。
top