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税制知っ得

平成27年4月30日

30.必要経費の考え方⑤ -副業の確定申告-

サラリーマンをしながら、お小遣い稼ぎに副業をしておられる方は結構おられるのではないでしょうか。副業と言っても様々なものがあります。不動産経営、株式投資、FX、アフィリエイト、フリーマーケット、オークション、最近は「you tuber」というものもありますね。皆さん、これらに伴う税金対策は万全ですか。

 

これらの副業は、所得税法上のどの種類の所得に該当するでしょうか。これによって必要経費として控除できる範囲が変わってきます。

マンションや駐車場の賃貸などの不動産経営による所得は不動産所得、株式は1年を超える期間所有した後譲渡したような場合は譲渡所得になります。昼間の勤務とは別にアルバイトをしている場合は、給与所得になります。

これらの類型にあてはまらないものについては、雑所得か事業所得かという区別が問題となります。事業所得と雑所得の違いは、営利性、有償性、反復継続性等が認められるかどうかという点がポイントでした(詳しくはこちらのコラムをご参照ください)。「お小遣い稼ぎ」という意図で行う副業のほとんどは「雑所得」でしょう。

 

雑所得の必要経費にはどんなものがあるか、控除できる必要経費を、具体例を挙げて考えてみましょう。

アフィリエイトやFX、オークションはインターネットで行うものですから、これを利用することにより発生する費用があります。プロバイダ料金、レンタルサーバー代、ドメイン取得費用等の通信費です。レンタルサーバー代やドメイン取得はアフィリエイトのためだけにかけた費用として全額経費にすることは可能でしょう。しかし、プロバイダ料金については、アフィリエイトのためだけに契約しているというような場合でない限り、なかなか難しいでしょう。インターネットで何かを調べる、メールを送る等は携帯電話を使っており、アフィリエイトで利用しているプロバイダは一切使っていないということを証明できれば良いのですが。同じことは電話代や、自宅賃貸マンションと職場を兼用している場合の賃料についても言えます。

また、これらの副業を始め、続けていくにあたっては情報収集が必要です。これにかけた費用、例えばセミナー参加費用、書籍代等も会議費、研究費、新聞図書費等で経費とすることができます。新聞については種類や読んでいる新聞の数にもよると思います。全国紙は副業をしていなくても読む人が多数でしょうから、これを情報収集のツールだとして経費にするのは難しいでしょう。日経新聞は経済に重点を置いたものではありますが、これもいわゆる全国紙の一つであり、日経新聞のみを取っている人がこれを経費にするのは難しいと思います。複数とっている場合に、日経新聞については経費にするというのはありうるのではないかと思います(ただし、私見です)。

 

他にも、セミナーに行くための電車賃は交通費、副業に使う文具は消耗品費、そもそもそのためにパソコンを買うということであればパソコンも消耗品費(価額によっては資産計上し、減価償却)にすることも可能です。

このように考えていくと、かなり広範囲のものを経費とすることができそうです。ポイントは、使用割合をどのように考えるかということですね。

 

副業による収入がある場合の申告の要否についても覚えておきましょう。

一か所から給与を得ている場合(典型的なサラリーマンです)、副業による所得が20万円を超えない限りは、確定申告をする必要はありません(所得税法121条1項1号)。

この「20万円」というのは必要経費を控除したあとの金額(「所得」)です。ですが、雑所得に限られません。給与所得及び退職所得以外の全ての所得が20万円以内、という条件です。また、確定申告をしなくて良いのは、一か所から給与所得を得ている場合のみです。

専業主婦の場合は少し異なり、所得38万円までは確定申告をする必要がありません。これは誰もが認められる38万円の基礎控除があるからです。

間違いやすいのは住民税の申告です。以上の規定はあくまでも所得税に関するものであり、住民税は「20万円以下の場合」であっても、申告義務を免除されません。きちんと申告するようにしましょう。

住民税の申告をすれば、会社に副業がばれるのではないかという心配が非常に多いようです。ネット上では、抜け道的なアドバイスもたくさん見受けられますが、そもそも就業規則で副業が禁止されている場合、副業はしてはいけません。会社にばれたときに減給や解雇となれば、元も子もありません。

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