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税制知っ得

令和2年5月1日

52.新型コロナウイルス対策緊急税制措置

新型コロナウイルスの感染拡大により多くの事業者・国民の収入が急減しました。このような状況に鑑み、政府から緊急経済対策が打ち出されました。その中には、いくつかの税制上の特別措置があります。国税関係は、「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律」、地方税関係は、「地方税法等の一部を改正する法律」が、それぞれ、4月27日に衆議院に付託され、現在審議中です。

以下が、上記の法案に盛り込まれた施策のうち代表的かつ重要と思われるものと関連する施策のインデックスです。このような緊急事態ですので、時間の経過とともに、さらなる変更もありうることかと思います。何らかの不都合や何らかの支援の必要性を感じたときには、諦めず、所轄官庁に確認してみてください。

国税関係

納税の猶予

令和2年2月以降、売上が減少(前年同月比▲20%以上)したすべての事業者について、令和2年6⽉30⽇、または、納期限のいずれか遅い⽇までに申請することで、納税を猶予(無担保かつ延滞税なしで1年間)。

施行日前に納期限が到来している国税についても遡って適用可。

 

なお、申告所得税、贈与税及び個人事業者の消費税等については、新型コロナウイルス感染症の拡大等により、期限内に申告することが困難な場合には、柔軟に確定申告書受付実施済み。

欠損金の繰戻し還付

法人の資本金が10億円以下(従前1億円以下から拡大)であれば、前年度黒字で今年度赤字の場合、前年度に納付した法人税の一部還付可。

文化芸術・スポーツイベントの中止等に係る所得税の寄附金控除

政府の自粛要請を踏まえて文化芸術・スポーツに係る一定のイベント等を中止等した主催者に対して、観客等が入場料等の払戻請求権を放棄した場合には、放棄した金額(上限20万円)について寄附金控除(所得控除又は税額控除)。

 

地方税

償却資産・事業用家屋に係る固定資産税等の軽減

中小企業の保有する設備や建物等の来年度(2021年度)の固定資産税及び都市計画税を、事業収入の減少幅に応じ、全額免除または1/2に減額。

固定資産税の特例(固定ゼロ)の拡充・延長

現行、中小企業が新たに投資した設備については、自治体の定める条例に沿って、投資後3年間、固定資産税が免除。本特例の適用対象に、事業用家屋と構築物を追加(拡充)し、2021年3月末までとなっている適用期限を2年間延長。

消費税の課税事業者選択届出書等の提出等に関する特例

新型コロナウイルス感染症により収入が著しく減少した事業者が、その課税期間の申告期限(課税期間開始前の原則の特例)までに申請書を提出して税務署長の承認を受けたときは、消費税の課税事業者の選択の変更を容認。

特別貸付けに係る消費貸借に関する契約書の印紙税の非課税

公的貸付機関等又は銀行等の金融機関が新型コロナウイルス感染症の発生によりその経営に影響を受けた事業者に対して行う金銭の特別貸付けに係る消費貸借に関する契約書のうち、令和3年1月31日までに作成されるものについては、印紙税は非課税。

その他の租税公課の類

厚生年金保険料等の猶予制度

厚生年金保険料等を一時に納付することにより、事業の継続等を困難にするおそれがあるなどの事情があるときは、納期限から6ヶ月以内に管轄の年金事務所へ申請することにより、納付の猶予。

電気・ガス料金の支払猶予

新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、電気・ガス料金の支払いに困難な事情がある者に対しては、料金の未払いによる供給停止の猶予など、電気・ガス料金の支払いの猶予について、柔軟な対応を行うよう公益事業者に対して行政指導済み。

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