トップページ > 融資の受け方② -定量分析-
金融機関は、企業のどのようなところを見て融資の判断するのでしょうか。
「定量分析」「定性分析」という言葉がありますが、金融機関も融資の際にこれらの分析を行っています。「定量分析」と言われるのが、決算書を使った財務分析です。大きな金融機関では、これらはコンピューターを使って瞬時に計算されるのですが、重要な項目をいくつか押さえておきましょう。
償却前営業利益
営業利益 + 減価償却費
で算出されます。営業利益は、会社が本業によってどれだけ利益を得ているかを示すものです。減価償却費は、費用として計上され、その分利益は減っているのですが、現金の支出を伴っていないため、この分の現金は会社に留保されていることになります。これは会社のキャッシュフロー、つまり、どれだけ現金があるかを示すものです。長期借入金の返済原資があるかどうかはこれを見ればすぐに分かります。上記の合計額が、借入金に対する年間の返済総額より少ないと、近いうちに返済が滞ってしまう可能性があります。つまり、返済能力がないと判断され、融資してもらうのが難しくなるのです。
債務償還年数
有利子負債 ÷ (営業利益 + 減価償却費)
金融機関からの借入金や社債を返還するためには、会社の本来の営業活動で得られる利益の何年分必要かということです。例えば、1億円の有利子負債がある会社で、営業利益が800万円、減価償却費が200万円だと、全額返還するのに、10年かかることになります。この年数は、もちろん、短ければ短いほど良いです。一般的には10年を超えると問題と言われています。
自己資本比率
自己資本 ÷ 総資産 × 100
自己資本比率は高いほど、他からの借り入れに頼っていないということ、つまり、会社の経営が安定しているということになります。資産1億で自己資本率が10%の会社ですと、自社で準備したのは1000万円だけで、残額の9000万円はいずれ返還しなければならないお金ということです。「少し債務の額が多すぎる、本当に返せるのか」と感じますよね。
目安とすべき比率は会社の規模や業種によっても異なってきますので、一概には言えませんが、平成24年の中小企業実態基本調査のデータを見ると、建設業35%、製造業36%、情報通信業46%、卸売業29%、小売業23%となっています。このあたりと比較してみて、自社がどうかを見てみるといいでしょう。
ギヤリング比率
他人資本 ÷ 自己資本 ×100
あまり聞き慣れない言葉かもしれません。返済義務のある他人資本、つまり、借入金を自己資本で賄えているかを示すものです。100%以下だと、自己資本の方が他人資本よりも多いということですから、会社の財務はかなり安定していることになります。
以上のような指標が、金融機関が融資判断にあたって重視しているものです。
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