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企業支援エトセトラ

平成27年6月29日

14.平成27年度から変更された助成金

以前ご紹介させていただきました助成金について、平成27年度から内容が一部変わりましたので、変更点をご案内させていただきます。

キャリアアップ助成金(本助成金の以前のご紹介はこちらをご覧下さい)

[変更点]

平成26年度までは短時間正社員コースというのがありましたが、これに代わるコースとして、「多様な正社員コース」が新設されました。政府の正社員実現加速プロジェクトを受けて内容が多様化されたということです。

なお、他のコースについても、平成26年3月1日から平成28年3月31日まで支給額の増額や要件の緩和がなされている点は以前ご紹介させていただいたとおりです。

 

多様な正社員コース
[支給額]

※( )内は中小規模事業主(業種にかかわらず常時雇用する労働者の数が300人以下)の場合の支給額

勤務地限定正社員または職務限定正社員制度を新たに規定し適用した場合
1事業所当たり40万円(30万円)
有期契約労働者等を勤務地限定正社員、職務限定正社員または短時間正社員に転換または直接雇用した場合
1人当たり30万円(25万円)
正規雇用労働者を短時間正社員に転換または短時間正社員を新たに雇い入れた場合
1人当たり20万円(15万円)

さらに、ⅰ、ⅱについて、派遣労働者を派遣先で勤務地限定正社員、職務限定正社員または短時間正社員として直接雇用した場合は、1人当たり15万円を加算されます。

また、ⅰ~ⅲについて、母子家庭の母等を転換等した場合には、1人当たり10万円を加算されます。

それぞれの正社員の定義など、本助成金についての詳細はこちらをご覧下さい。

職場定着支援助成金

[変更点]

本助成金は平成26年度までは「中小企業労働環境向上助成金」という名称でした(以前、介護事業者向けの助成金としてご紹介させていただきました。こちらをご覧下さい)。

コースは「個別中小企業助成コース」と「団体助成コース」がありましたが、前者が、「個別企業助成コース」となり、中小企業以外も助成金の対象となりました(後者は「中小企業団体助成コース」と名称が変更)。

また、今までは制度導入に対して助成金が支給されていましたが、今年度から下記のとおり、導入の際に一時金、離職率の低下という目標が達成できれば追加支給という2段階になり、その結果、目標達成した場合の支給総額は増額されています。

以下、個別企業助成コースの中の雇用管理制度助成についてご紹介させていただきます。

 

個別企業助成コース
雇用管理制度助成
[支給額]

制度導入助成として各制度10万円、目標達成助成として60万円

 

(1)制度導入助成

制度導入助成を受けるためには、①雇用管理制度整備計画を作成し、労働局長の認定を受ける、②認定された雇用管理制度整備計画に基づき、制度を導入し、かつ通常の労働者1人以上に実施する、③雇用管理責任者を選任する、というステップを踏むことが必要となります。

対象となる雇用管理制度は、下表のとおり全部で4つあり、今年度から(4)メンター制度も対象に加わりました。また、健康づくり制度の対象も下表のとおり変更されています

雇用管理制度 具体的な例 支給額
評価・処遇制度 ①評価・処遇制度の導入、②昇進・昇格基準の導入、③賃金体系制度の導入、④諸手当制度の導入など

※③④については、制度導入後の賃金総額が低下していないことが必要

制度導入助成
10万円
目標達成助成 60万円
研修体系制度 ①新入社員研修、②管理職員研修、③新任担当者研修、④特殊技能習得研修など

Off-JTであることが必要
※1人につき10時間以上の教育訓練等であること
※教育訓練等の期間中の賃金について、減額されずに支払われていることが必要

健康づくり制度 ①人間ドック、②生活習慣病予防検診、③腰痛健康診断、④メンタルヘルス相談、のいずれかの制度を導入

※健康診断等の受診により費用を要する場合は、その費用の半額以上を事業主が負担していることが必要

メンター制度 通常の労働者に対するキャリア形成上の課題及び職場における問題の解決を支援するためのメンタリングの措置 メンター制度の新たな導入

※制度導入助成について各制度区分内で複数の制度を導入した場合、あるいは目標達成助成について複数の雇用管理制度区分を導入した場合でも金額は変わらない

 

(2)目標達成助成

目標達成助成は、①「制度導入助成」の制度を実施すること、②離職率を目標値以上に低下させること、が必要となります。②は具体的に、評価時離職率を計画時離職率より下表に記載する離職率ポイント以上低下させることが必要となります。

対象事業所のいける雇用保険
一般被保険者の人数規模区分
1~9人 10~29人 30~99人 100~299人 300人以上
低下させる離職率ポイント(目標値) 15% 10% 7% 5% 3%
※離職率(%)=
所定の期間における離職による雇用保険一般被保険者資格喪失者数
   所定の期間の初日における雇用保険一般被保険者数
※評価時離職率:
「所定の期間」を「雇用管理制度整備計画の末尾の翌日から起算して12か月経過する日までの期間」として算出した離職率
※計画時離職率:
「所定の時間」を「雇用管理制度整備計画認定申請日の12か月前の属する月の初日から雇用管理制度整備計画認定申請日の属する月の前月末までの期間」として算出した離職率

なお、「計画時離職率-目標値」の値が0%を下回る場合、新規創業等で計画時離職率を算出出来ない場合は、評価時離職率を0%とすることが目標となります。

例えば、対象事業所における雇用保険一般被保険者の人数規模が30人の場合、

○計画時離職率が15%であれば → 評価時離職率を8%以下にすることが必要

○計画時離職率が5%であれば → 評価時離職率を0%にすることが必要

本助成金の詳細については、こちらをご覧下さい。

本年度は上記以外にも、従業員の人材育成を重視した助成金が拡充されました。新設された助成金も含めて、次回以降、随時ご紹介させていただきます。

なお、両立支援助成金の中の1つであった「ポジティブ・アクション能力アップ助成金」が平成26年度限りで廃止になりましたが、今国会で、いわゆる女性活躍推進法が成立すれば、「ポジティブ・アクション加速化助成金(仮称)」がスタートし、助成額も増額となる予定です。また、若者雇用対策法案が成立すれば、若い社員の定着率や、能力向上のための研修制度の導入など、一定の基準を満たす企業を対象にした助成金の創設も検討されています。

これらの最新の助成金情報についても、随時ご紹介させていただきます。

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