平成25年6月29日
今回も、前回に引き続き、特定の業種業態(特定商取引)に向けられた広告規制についてご紹介します。
(2)電話勧誘販売
電話勧誘販売(特商法16条以下)とは、事業者が消費者に電話をかけて商品販売や役務提供を勧誘する事業形態です。
消費者が事業者に対して電話をかけた場合には、その電話で販売勧誘が行われても、特商法の規制(書面交付義務やクーリングオフなど)は受けないことになります。しかし、事業者が、チラシを配布したり、郵便、電話、ファクシミリ、インターネットなどで景品が当たるなどと広告して、消費者に電話をかけるよう呼びかけた場合で、商品勧誘目的が記載されていなかったり、また他の事業者より著しく有利な条件で契約出来ることを謳い文句に広告して電話をかけるよう呼びかけた場合は、その電話が消費者からなされたものであっても、特商法の電話勧誘販売規制を受けることになります(同法2条3項、特商令2条)。
(3)連鎖販売取引
販売員組織を拡大することにより利益が得られることを謳い文句にして商品を販売しようとするシステムで、マルチ商法とか、マルチまがい商法あるいはネットワークビジネスといわれるものが連鎖販売取引(特商法33条以下)にあたります。
まず消極的規制として、この取引に関して広告をするためには、商品やサービスの内容だけではなく、広告の統括者、勧誘者などの住所氏名など共に、「特定負担」即ち、この販売員組織に入るために購入(仕入れ)しなければならない商品の代価等の負担の内容も記載しなければなりません。そして、その広告に「特定利益」が得られること、即ち、商品の再販売や受託販売などにより利益が得られることを記載する場合は、その計算方法も記載しなければなりません(特商法35条、特商施行規則25条)。
次に積極的規制として、通信販売と同様に、著しく事実に相違する表示、または実際のものよりも著しく優良・有利であると誤認させる表示は、誇大広告として禁止されます(特商法36条)。誇大広告かどうかの疑義があり、経産大臣から求められたときは、事業者は合理的な根拠を示す資料を提出しなければならず、資料を提出しないときはその広告が誇大であったものと見なされます(同法36条の2)。
これらの広告規制に違反した者は、行政処分(特商法38条、39条)や刑罰(同法72条1項3号、7号)の対象になります。
(4)特定継続的役務提供
語学教室やエステなど特定継続的役務提供(特商法41条以下)に関する広告を行う事業者は、上記と同様の誇大広告規制を受け(同法43条)、合理的根拠資料の提示が求められること(同法43条の2)、違反した場合には行政処分や刑罰の対象となること(同法46条、47条、72条1項3号)も同様です。
(5)業務提供誘引販売取引
内職商法や資格商法など、消費者に一定の仕事を与えることを謳い文句として、その内職等に必要な器材を購入させたり、技術や知識習得のための講座を受講させる契約を結ぶことを業務提供誘引販売取引(特商法51条以下)といいます。この取引に関する広告をする場合には、業者の住所氏名、電話番号、商品や役務の種類のほか、特定負担に関する事項(購入器材や講座等の内容と代価)、業務提供の条件(収入を表示するときはその計算根拠)などを記載しなければなりません(特商法53条、同施行規則40条、41条)し、上記の他の業態同様に誇大広告禁止(同法54条)や根拠資料の提示(同法54条の2)の規定もあり、違反者に対する行政処分(同法56条、57条)、刑罰(同法73条1項3号、7号)も他の業態と同様です。
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