
個人再生手続でよく寄せられる質問
再生手続利用の条件
再生手続利用の効果
再生手続利用上のデメリット
住宅ローン関係
その他
個人再生手続利用の条件について
個人再生手続の利用には、借金の総額の範囲による制限はあるのですか。
個人再生手続は、借金の総額が5000万円を超えてしまう場合は利用出来ません。但し、住宅資金特別条項付の個人再生を利用する場合であれば、住宅ローンはカウントされませんので、住宅ローン以外の借金の総額が5000万円を超えていなければ利用出来ます。
どのような職業の人が利用できるのですか。
サラリーマン以外でも将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがある人であれば、小規模個人再生による個人再生手続を利用出来ます。ですから、この要件を満たしているか否かを個別に見ていくことになりますので、最初から職業自体による制限は特にありません。
アルバイトやパートタイムで働いている場合でも利用できるのですか。
アルバイトやパートでも同一の勤務先で継続して勤務しているなど、今後も収入を得る見込みがある場合は、個人再生手続を利用することが可能です。
無職で年金暮らしと言うような場合も利用できるのですか。
将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがある人であれば手続きを利用出来ますので、例え無職で年金で生活している人であっても、将来継続的に年金を得る見込みがあれば、個人再生手続を利用することが可能です。
収入が不安定でも利用できるのですか。
収入が不安定であっても、将来において継続的に又は反復して一定額以上の収入を得る見込みがある人であれば、個人再生手続の利用は可能です。
私は主人の被扶養家族になっているのですが、そういう場合でも利用できますか。
ご主人の扶養家族になっている場合であっても、パートやアルバイト等であなた自身が将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあれば、個人再生手続を利用することは可能です。但し、あなたが専業主婦で全く無収入の場合には利用出来ません。
本人が無収入でも、家族が援助してくれる場合は利用できますか。
個人再生手続きの利用には、将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあることが必要ですので、本人が無収入の場合は、たとえ家族の援助があったとしても利用は難しいでしょう。但し、個人再生手続を申し立てる時点までに職を見つけて定期的な収入を得られるようになっていれば、利用出来る可能性はあります。
日本国籍以外の人でも利用できますか。
外国籍でも、問題ありません。個人再生手続を利用するにあたって国籍による制限は一切ありません。
借金を作った原因がギャンブル・浪費等であっても利用できますか。
できます。個人再生手続では基本的に借金の原因は問われません。この点が破産手続きと違う点です。詳しくは→
ただし、負債の理由があまりにも自己中心的な場合(例えば数ヶ月の間にギャンブルで何百万もの負債を抱えた場合など)には、申し立てが認められない可能性はあります。
自己破産をしたことがある場合でも利用できますか。
給与所得者等再生の場合は、自己破産による免責決定を受けてから7年間は利用出来ません。一方、小規模個人再生については、自己破産の決定を受けたことがある人でも、いつでも利用することができますし、住宅資金特別条項を使うことも可能です。
個人再生手続利用の効果について
個人再生手続を利用すると何か資格制限が生じますか。
個人再生を利用しても、自己破産する場合と違って、資格制限は生じません(自己破産との違いについて詳しくは→)。従って、保険外交員、警備員、損害保険代理店、弁護士、公認会計士、税理士、弁理士、公証人、司法書士、宅地建物取引主任者、不動産鑑定士、土地家屋調査士などの仕事をされている場合でもそのまま続けることができます。
他の人の借金の保証人になっている場合はどうなりますか。
保証債務についても、減額の対象となります。従って、個人再生手続を申し立てる際には、債務として申告する必要があります。この点、ご自身が保証人になっている場合を見落としてしまいがちですので、申立する際には十分注意しましょう。
私の借金に保証人がいる場合、減額の効果はその保証人にも及びますか。
あなたの借金の保証人は、あなたが個人再生手続を行って債務額が減額されたとしても、その減額の恩恵は受けません。従って、保証人は変わらず全額について責任を負うことになります。よって、出来れば手続を利用する前に保証人に対して事情をよく説明しておいた方がいいでしょう。但し、保証人も別途個人再生手続等を行うことで債務整理を行うことができます。
なお、住宅資金特別条項については、例外的に保証人にも効力が及びます。ですから、住宅ローンの保証人については、あなたと同じように支払の猶予を受けることが出来ます。
税金や健康保険料も支払が滞っているのですが、これらについても減額されますか。
個人再生手続を行っても、税金や健康保険料については減額の対象にはなりません。未納分については全額を支払う必要があります。ただ、一括で支払うのが厳しい場合は、役所に相談すると毎月無理のない範囲で分割払いを行うこともできるようです。
なお、個人再生手続の中で、裁判所から税金等の滞納をどのように支払っていくかについての申告を求められますので、税金等を滞納している場合は早い段階で役所の窓口で分割払いの相談をされたほうがいいでしょう。
養育費の支払については減額の対象に含まれますか。
含まれません。
個人再生手続利用上のデメリットについて
個人再生手続を行った場合、そのことは会社等にばれてしまうのでしょうか。
個人再生手続を行ったからといって、基本的に勤務先にそのことが知れることはありません。ただし、勤務先から借金をしている場合あるいは勤務先が借金の保証人になっている場合には、債権者として挙げる必要が出てきますので、個人再生手続についての通知が届くことになります。
また、個人再生手続開始の決定などが官報に載ることになりますが、一般の人が官報を目にすることは殆ど考えられないので、特に心配することはないかと思われます。
個人再生手続を行ったことを家族に知られないようにすることはできますか。
家族に対して借金をしていない限り、裁判所から家族等に通知されることはありません。しかし、裁判所から申立人宛の書面が同居の家族の目に触れる可能性は否定出来ません。個人再生を申し立てるにあたっては、同居家族の収入を証明する書面や家計収支表の作成等、家族の協力が必要な書類を準備する必要がありますので、家族に内緒にしたまま手続をすすめるのは難しいでしょう。事前にきちんと話をされて、家族の協力を得ておくことをおすすめします。
個人再生手続きを行った場合、破産同様、それ以降ローンを組んだり、クレジットカードの発行等が出来なくなるのでしょうか。
弁護士が債権者(貸主)に受任通知を送ると、その債権者(貸主)が加盟している信用情報機関に、弁護士が介入したという情報が登録されることになります。そうすると、それ以降はローンの審査が通らなかったり、クレジットカードが使えなくなったりします。この信用情報は一生残るものではありませんが、5~7年程度は残ると考えて下さい。従って、しばらくは現金払いで生活していただくことになります。
但し、個人再生手続を申し立てる場合でも銀行口座を新規に開設することは可能ですし、従来より使用している銀行口座を利用することはできます。
個人再生手続を利用することで、家族に取立がきたり、家族がクレジットカードを使えなくなる等の影響が出てくるのでしょうか。
個人再生手続等の債務整理手続に入ったことで、債権者(貸主)が家族に直接取立てを迫るということは通常ありません。 但し、信用情報機関に事故情報として登録されているので(いわゆるブラックリスト)、 家族の方がクレジットの申込みをした場合、審査で依頼者の情報が照会され、家族の方の申込みが拒否されるという可能性がないとは言い切れません。
引っ越しができなくなったりするのでしょうか。
自己破産で破産管財人が選任された場合には、破産手続が終了するまでの間、裁判所の許可を得なければ引越しをすることができなくなりますが、個人再生手続をした場合には、制限なく引越しをすることができます。
但し、引越ししたことを裁判所、及び委任している弁護士に知らせる必要はあります。
保険に入っている場合、保険を解約する必要はありますか。
解約する必要はありません。但し、個人再生手続の場合は、最低でも資産相当額を(原則3年で)返済しなければならないことになっており、保険の場合には今解約した場合に帰ってくる返戻金が資産相当額ということになります。従って、あまりに解約返戻金が高いときは解約せざるを得ない場合も出てきます。なお、解約返戻金がいくらになるか証明するために、「解約返戻金証明書」を保険会社から取り寄せていただく必要があります。
自動車を持ち続けておくことはできますか。
(1)自動車のローンが残っている場合と(2)自動車のローンが残っていない場合で変わってきます。
(2)自動車のローンが残っていない場合は基本的に車を手放す必要はありません。但し、個人再生手続の場合は、最低でも資産相当額を(原則3年で)返済しなければならないことになっていますので、車の価値が高く評価されてしまう場合は、手放さざるを得ない場合も出てきます。なお、年式が7年以上たっていれば価値は原則ゼロとみなされることになりますので、その危険はありません。
一方、(1)自動車のローンが残っている場合はローン業者の所有となっていることが多いので、引き揚げられてしまう可能性が十分あります。しかし、仕事にどうしても必要で、車がなければ、所定の給料を得られないというような事情がある場合には、裁判所の許可を得ることで、車のローンは圧縮させないで払い続ける代わりに、車を手元に残すことが可能な場合があります。但し、住宅ローンの上に車のローンを払い、減額されるとはいえ他の債務も支払うとなると、決して簡単なことではありません。
住宅ローン関係について
手続を利用する上で、住宅ローンの残年数が何年までという制限はありますか。
特に住宅ローンの残年数によって利用に制限があるわけではありません。
但し、個人再生手続を利用する場合、あなたの持っている資産を評価した総額以上の金額は返済しなければならないという縛りがあり、住宅の場合、評価額からローン債務を差し引いた金額が基準になるので、残年数が少ない場合は、その分住宅の価値が高く評価されてしまう可能性はあります。
保証会社が住宅ローンの支払を代位弁済してしまった後でも、手続を利用することはできますか。
保証会社が代位弁済した場合でも、6ヶ月以内に個人再生の申立をすれば、住宅ローン特別条項付の個人再生手続を利用できます。但し、6ヶ月を経過してしまうと利用できなくなりますので、注意が必要です。
住宅が既に競売手続に入ってしまっている場合、止めることはできますか。
止められることがあります。
個人再生を申し立ててから、裁判所に対して「抵当権の実行手続の中止命令」を申し立てることができ、裁判所に中止命令を出してもらえれば、競売手続の進行は中止しますので、その間に、住宅ローンを今後どのように支払っていくかについての計画案を裁判所に提出すれば大丈夫です。
但し、注意しなければならないのは、住宅ローンの保証会社が代位弁済してしまうと、その日から6ヶ月以内に個人再生の申立てをしないと競売も止められなくなります。大体、住宅ローンを6ヶ月程度延滞すると代位弁済になることが多いですから、この点注意が必要です。
住宅が仮差押えされてしまっている場合はどうなるのでしょうか。
裁判所によって再生手続開始決定がされると、差押え・仮差押えはできなくなり、また、すでにされていた場合にはこれを中止しなければなりません。ですから、裁判所へ開始決定を早められたい旨の上申書を提出することが考えられます。早い場合、申立から1~2週間程度で開始決定を得ることができる場合があります。
自宅に抵当権がついている場合、個人再生手続を利用するのに問題はありますか。
住宅ローンを担保するための抵当権が設定されている場合は問題ありませんが、住宅ローンを担保するため以外の抵当権が設定されている場合にも、住宅資金特別条項付の個人再生手続を利用することができません。
建物が自宅兼店舗の場合でも手続を利用できますか。
所有している建物が自宅兼店舗であっても、床面積の2分の1以上を居住用として利用している場合には、住宅ローン特別条項付の個人再生手続の利用が可能です。
自宅兼賃貸住宅などの場合でも、居住用として利用している部分の面積が床面積の2分の1以上の場合には利用可能です。
夫婦共有の住宅で、夫婦とも返済が困難な場合、夫婦共に個人再生手続を利用することはできますか。
住宅資金特別条項を利用するためには、「民事再生をする方が住宅を所有していること」が必要ですが、「所有」には「共有」する場合も含まれています。従って、例えば夫婦で自宅を共有している場合でも住宅資金特別条項を利用することは可能です。
億ションを購入している場合も個人再生手続を利用できますか。
いわゆる億ションと呼ばれる高額な不動産を所有していたとしても、住宅資金特別条項付個人再生の対象となる住宅の購入価格による制限は加えていません。住宅ローン債権は5000万円以内という総債務制限には含まれませんので、あなたが所有する居住用住宅であり、住宅ローン債権以外の担保権が設定されていないなど、その他の要件を満たしさえすれば、一般論として利用は可能です。但し、現実的には、住宅ローンの月々の支払いも高額であることが多いでしょうから、住宅ローンの支払も含めた再生計画案の作成は容易ではないでしょう。
その他
賃料・水道光熱費等は、個人再生手続をする場合に支払っても構わないのでしょうか。
賃料や水道光熱費等生活していく上でどうしても必要なものについては、再生手続申立前であるか後であるかにかかわらず、引き続き支払っていただいて結構です。
個人再生手続を利用する場合、給与等の振込先口座を早急に変更した方がいいのでしょうか。
給与や年金等の振込口座となっている銀行等の金融機関に対して借金がある場合は、当該銀行に対して個人再生手続を行うことを通知した段階で、口座に残っている預金や振り込まれてきた給料をもっていかれてしまう(相殺)可能性がありますので、予め給与や年金の振込先の銀行を変更しておいた方がいいでしょう。
また、預金をもっていかれないように、預金を全額借金をしていない他の銀行口座に移すなどして、残高をゼロにしておいた方がいいでしょう。そして、その口座を光熱費等の引落口座にしている場合は、その引落口座も変更しておいた方がいいでしょう。
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