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今から事業を始めようとしている方、事業を始めたものの、色々とお悩みの方へ

 

帳簿をつけることの重要性

皆さんは、取引先の金融機関から経営状況を尋ねられたとき、決算書類に基づいて説明することができますか。設備投資を考えているとき、今が適切な時期か瞬時に判断することはできますか。

 

これらは、会社(又は個人事業の場合は、その事業)において、経営者又は経理担当者が日々帳簿をつけ、経営状況を把握していれば簡単にできることなのです。

とはいえ、「毎日帳簿をつけるのは面倒くさい」、「そもそもつけ方が分からない」等の理由から、領収証を溜めておいて確定申告前に税理士に丸ごと委任したり、そもそも確定申告をしなかったり、という現状をよく聞きます。

このようにしてしまうのは、日々帳簿をつけることのメリットをご存知ないからではないでしょうか。

 

まず、日々帳簿をつける作業について現代風のイメージを持ってください。あなたは会計・経理ソフトウェアのインストールされたパーソナルコンピュータの前に座っています。一昔前のように、伝票を見て、仕訳日記帳に手書きし、さらに、元帳に手書きで転記し、そろばん又は電卓で集計し、手書きすることではありません。最近では市販のパーソナルコンピュータ及び会計・経理ソフトウエアの機能は拡張し、価格もお手ごろになっています

 

では、コンピュータにデータを入力すことにどのようなメリットがあるでしょうか。あなたは入力するだけで、後はコンピュータが公正な会計慣行に従って自動的に加工し、以下のように、あなたが必要なデータを提供してくれます。

 

ある時点の経営状況を、他の月若しくは前年の同時点の経営状況と、又は同業他社の経営状況と比較することが容易になります。前年同月と比べて、商品の売上がどうなっているか、売上が伸びたことに伴い利益が伸びているかなどがわかります。同業他社と比べて総資本営業利益率、売上高経常利益率、労働生産性が高いか、低いかがわかります。これらは業務上の弱点発見のヒント、つまり、業務の改善のヒントになります。

 

資金繰りの状態を把握することができます。月末の支払時期にいくら手元資金があるか、売上が伸びているのにどうして手元に現金が足りないのかの原因分析ができます。これらは、資金繰り上の弱点の発見のヒント、つまり、財政状態の改善のヒントになります。

 

経営状態をタイムリーに把握できるということは、迅速かつ適切な経営判断ができるということです。例えば、今、設備投資をすべきか迷っている場合に欲しい判断材料を提供してくれます。もし、年1回の決算しかしていないとしたら、売上が伸びたからとか、手元資金が残っているからなどの少なく感覚的な判断材料に基づくしかありません。また、4半期毎の売上の経過を把握しようとしてデータを作成することでさえ後になってからでは時間がかかり、また、不正確になります。これに対して、日々帳簿をつけていれば、商品ごとの月刻みの売上、経常利益、キャッシュフロー、設備の生産性の経緯が居ながらにしてわかり、これに市場の成長性など将来の外部環境の分析を行えば、迅速でありながら、場当たり性・不確実性を極力減らした経営判断ができます。また、看板等の契約の更新時期に、継続するかどうかを迷うのであれば、広告宣伝費をかけすぎていないか、それによりどれだけの効果が上がっているのかを判断することもできるでしょう。

 

経営状況のタイムリーな把握により、金融機関から融資を受けやすくなり、また、その他の取引先との円滑な取引継続に役立ちます。金融機関から融資を受けるに際しては、確定申告書の提出を求められます。確定申告をしていないのであれば、融資は到底受けられません。返済能力があるかどうか分からないからです。ですので、確定申告をしていることは当然の前提なのですが、行員との面談に際して、自分自身で帳簿を説明しながら経営状況ができるのとできないのとでは大きな違いです。また、事業計画を策定することも当然求められます。日々帳簿をつけていれば、将来の予想もハッタリや場当たりでなく、容易かつ説得的な事業計画を策定することもできます。金融機関の立場に立てば、帳簿が理解できる人に貸したいと思うのは当然ですよね。

 

また、帳簿をつけることで、青色申告者の特典を受けられることは、以前お話したとおりです。

 

さらに、同じ帳簿を付けるのでも、「中小企業の会計に関する基本要領」を履践している場合には、保証料の割引に始まり、様々な政府の助成措置を受けることができ、同業他社に比して競争上有利になります。

 

以上のとおり、帳簿をつけることのメリットは絶大です。一見目先の利益にはつながらないため道のりは長く感じるかもしれませんが、優良企業になるための必須の前提といえるでしょう。

「帳簿の見方が分からないからつけても無駄だ!」という方、見方については専門家に聞きながら少しずつ勉強していきましょう。最初は、確定申告前にバタバタすることをやめ、毎日あるいは何日か単位で、(手書きで構わないので)いくら使っていくら売り上げたかを書き、領収証を貼る作業から始めましょう。計算書類の読み方を専門家に聞くと、当然手数料が発生しますが、必要な費用と割り切りましょう。将来を見据え、事業で成功したいならば、日々帳簿をつけ、計算書類を読めることが必須です。

帳簿を付けることは、一旦習慣化してしまえば、単なるルーティン作業になり、企業の生産性を低下させることもありません。喩えて言えば、今まで朝ごはんを欠食していた人が朝ごはんを食べるようになったという程度の負担です。

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