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開業時の届出に関する注意

新たに法人を設立した場合、設立登記を済ませて安心してしまい、税務署や都道府県・市町村への届出をしていなかった!というような話を時々耳にします。法人設立時に届け出るべき書類や注意事項をご説明しますので、失念しているものがないかご確認ください。

法人設立届出書

本店所在地を管轄する税務署、都道府県税事務所、市町村役場にそれぞれご提出ください。その際、

定款
設立登記の登記事項証明書
株主名簿
設立趣意書
設立時貸借対照表

を添付する必要があります。

④設立趣意書とは、通常、会社を設立しようとする人が他に発起人を募集する場合に、設立する会社の目的や理念、何をするか等を記したものです。発起人を募集しない場合は、設立趣意書を作らないことが多いと思います。その場合は提出する必要はありません。

⑤設立時貸借対照表は、借方に預金、貸方に資本金を計上したシンプルなもので結構です。設立にかかった費用(定款作成費用や登録免許税等=「創立費」)は、第一期に一括で損金処理することもできますが、繰延資産として5年間で償却することもできます。第一期はなかなか利益が出にくいでしょうから、最初から利益が出てるような場合でない限り、5年で償却していくのが良いと思います。

法人設立届出書の提出期限は、設立の日(設立登記の日)以後2ヶ月以内です。

青色申告の承認申請書

青色申告承認のメリットは非常に重大ですから、この書面も忘れずに提出しましょう。提出期限は、設立の日以後3月を経過した日と当該事業年度終了の日とのうちいずれか早い日の前日までです。

欠損金の繰越控除繰戻還付を受けられる点が最大のメリットでしょう(法人税法57条、80条)。

これ以外にも、特に近年は中小企業の経営力を高めるため、様々な税制上の優遇措置が取られていますが、それらの制度を適用するためには、青色申告の承認を受けていることが条件となっている場合が多いです(例えば、中小企業等投資促進税制等)。

給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書

従業員を初めて雇用するときに提出します。従業員を雇用するときは、社会保険の関係で提出しなければならない書類があります。これらと一緒に提出するようにしましょう。提出期限は、開設・移転・廃止の事実があった日から1ヶ月以内です。初めて従業員を雇用した日から1ヶ月以内とご理解ください。

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

源泉徴収した所得税及び復興特別所得税は、原則として、給与等を実際に支払った月の翌月10日までに国に納付しなければならなりませんが、この納期の特例の承認を受けていれば、給与の支給人数が常時10人未満である源泉徴収義務者は、半年分まとめて納付することができます。毎月源泉所得税等を支払うのはかなり面倒な手続きでしょうから、この申請書を提出しておくことをお勧めします。提出した日の翌月に支払う給与等から適用されます。弁護士や税理士に依頼する場合も源泉所得税の徴収義務が発生しますので、開設時に提出しておくと良いでしょう。

棚卸資産の評価方法の届出書(任意)

棚卸資産を評価するにあたっては、先入先出法、後入先出法、移動平均法等いくつかの評価方法があります。届出書を提出しない場合は、自動的に最終仕入原価法(最終の仕入時点の単価で算出する方法)で計算することになります。最終の仕入原価で計算するものであり、計算方法としては最も簡便と言えますが、最終の仕入という一地点をもって評価するので、仕入価額が大幅に上昇している場合や大幅に下降している場合は要注意です。提出期限は、設立第1期の確定申告書の提出期限です。

減価償却資産の償却方法の届出書(任意)

減価償却資産の償却方法は定額法と定率法があります。定率法は定額法と違って、年々償却額が小さくなっていきます。最初から利益が多く出そうであれば定率法を採用すれば良いと思いますし、そうでないならば定額法で良いでしょう。

建物と無形減価償却資産(ソフトウェア)については、償却方法が定額法と決まっています。それ以外の減価償却資産は定額法と定率法のいずれかを選択できますが、届出書を提出しない場合は自動的に定率法となります。提出期限は、設立第1期の確定申告書の提出期限です。

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